『鎌倉殿の13人』で狡猾に立ち回る比企能員(写真提供/NHK)
共演する岡本信人(千葉常胤役)は、佐藤をこう見ている。
「僕なんかは自分の役を調べるのが精一杯で、他の武将のことはそれほど詳しくない。だけど佐藤さんの話しぶりからは、頼朝の死後に現われてくるそれぞれの思惑や本音なども含めて、全体を捉えているのがわかるんです。俯瞰して見ることができる視野の広さ、洞察力は、俳優としてだけでなく演出家の視点でもあるんでしょうね。
佐藤さんという俳優の魅力は、スケールの大きさと繊細さ、それに加えてセクシーなところだと思っています。僕に言わせれば渥美清さんクラスの怪優ですよ。まだ表に出てきていない底知れないものを持っている。今後も作品との出合いから役者としてものすごいものが出てくるんだろうなと期待してます」
よくわからないが、気になってしまう。奇っ怪な役者は、次にどんな顔をみせるのか。
(了。第1回から読む)
※週刊ポスト2022年8月5・12日号