国内

「好きで好きで仕方なかったから」刺されたホスト、歌舞伎町で「幹部補佐」に昇進していた

幹部補佐になっていた

幹部補佐になっていた

「好きで好きで仕方なかった」。そんな言葉とともに女性客から腹部をメッタ刺しにされるも、事件後1か月で自ら“不死鳥”というキャッチフレーズをつけて復帰し、大きな注目を浴びた歌舞伎町ホストの琉月(るな)さん。3年経った現在も、彼は夜の街で大きく羽ばたいていた。歌舞伎町の住人たちを取材した著書『ホス狂い~歌舞伎町ネバーランドで女たちは今日も踊る~』を持つノンフィクションライターの宇都宮直子氏がレポートする。

 * * *

 歌舞伎町の雑居ビルを地下一階まで降りて行くと、シルバーと紫色の大量のバルーンが目に入る。入り口では、「いらっしゃいませぇ!」とお揃いの紫色のパーカーを着た従業員一同が野太い声で出迎える。その中で、細身の黒いスーツに身を包んだ若い男性が、卓と卓の間を忙しなく、飛ぶように回っている。彼こそが「痛みに負け琉月(いたみにまけるな)」こと、琉月さんだ。

 2022年2月。この日は琉月さんが勤める『Servent of Eve』で彼の23歳のバースデーイベントが開催されていた。店内は琉月さんのイメージカラーだという紫色のバルーンで彩られ、一角には、彼の顔が大きくプリントされたオリジナルシャンパンが飾られている。

 店内は“満卓”で、テーブルの上には「カミュブック」や「テディ」など10万円以上する高価なボトルを置く女の子、お酒の飲めない琉月さんのために特別に作られたオリジナルシャンパンボトル(税・サービス料別11万円)を、瓶にそのまま口をつけラッパ飲みする女の子など、さまざまだ。

「今日は来てくれて、ありがとうございます」

 神妙な顔つきで頭を下げた彼は、店内の奥を指差し、「今日はシャンパンタワーも建ててもらったんだ」と話す。

 そこには紫、青、黄色に彩られた推定350万円というゴージャスなタワーが組み立てられており、彼がいかに人気ホストであるかを物語っている。スーツを着こなし、女性たちの相手をする琉月さんに、事件の影響はほとんどないように見える。この3年間で、彼は歌舞伎町のホストとして大きく成長したようだった。

 事件が起きたのは2019年5月。歌舞伎町近くのマンションの一室で、指名客の一人だったガールズバーの元店長・高岡由佳(当時21歳)が就寝中に琉月さんの腹部をメッタ刺しにし、重傷を負わせたのだ。彼女が供述で明かした「好きで好きで仕方がなかったから刺した」という衝撃的な動機や、犯行直後に撮影されたとみられる血まみれで倒れている琉月さんの隣で高岡がタバコを吸っている写真がSNSで出回ったことにより、この事件は大きな注目を浴びた。

 さらに話題を呼んだのは同年7月1日、事件から約1か月で琉月さんが店へと復帰した。ことだった。

 その際、SNSに笑顔でポーズをとる自身のバックに「不死鳥るな」とデカデカと書かれた写真をアップしたほか《痛みに負けルナ》《肝臓刺されたからしばらくお酒のめません》と事件をネタにしたかの様な内容をツイートしていため大炎上。次々と寄せられる辛辣なコメントに対し、本人は《みんなは刺された真実の理由は知らないのですか?》と反論していた。当時私は、“真実”を確かめるため、琉月さんが勤務する店へと足を運び、取材を試みている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト