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戸田奈津子が語る映画の未来「現在のかたちのまま残るとは考えられない」

戸田奈津子さんが今思うこと

戸田奈津子さんが考える映画の未来とは

 5月に公開された『トップガン マーヴェリック』が大ヒット。同作品の字幕翻訳を担当し、長年、主演のトム・クルーズの通訳として活躍してきた戸田奈津子さん(86才)が“通訳引退”を表明したことも話題となった。「人生に悔いはない」と語る彼女は今、どんなことを思っているのか。【全5回の第5回。第1回から読む】

You cannot have everything──だから私は、後悔しない

《エンディングノートを書き始めるのは平均70代》《80代になったら、お墓を購入すべし》──平均寿命が延びたいま、“終活”をめぐる問題はつねに私たちについてまわる。しかし戸田さんは、「何もしていない」と明言する。

「遺言こそ60代で書きましたが、お墓はいらないと思っているし、何より“周囲が終活しているなら、やらなければ”という右倣えの風潮には抵抗を感じます。若い子たちにも“みんなが髪を伸ばすなら自分は短くするとか、人の逆を選んで自分をアピールした方がいい”と言ってるんだけど、最近は男の子も女の子も髪形やファッションが似ていて、誰が誰だかわからない(笑い)。

 女性は結婚しないといけないとか、老後に備えてお金を貯めなければとか、お墓をつくらねばとか、自分のストレスになることをすることはありません」

 なんでも自分で決めることが最も重要で、人がやっているからという理由だけで自分もそれに合わせるのが“最悪”だと戸田さんは言う。徹底して“右倣え”を回避してきたいま、人生に悔いはないと断言する。

「映画が好きで字幕をやりたくて、幸運にもその夢を達成して、素晴らしい映画と人にたくさん巡りあった。だから仮に明日、事故に遭って命を落とすことがあっても悔いはありません。

 そもそも人生は“You cannot have everything”。短い一生ですべてを手にすることはできないから、欲張ることなく、自分のやりたいことを優先していくべきです。私は結婚も離婚も出産も、すべて映画を通じての疑似体験で、“損失”だったかもしれないけれど、それを承知で自分で選んだ生き方なのです」

 戸田さんが歩んできたその道は、今後どこに続いていくのだろうか。

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