新型コロナウイルスへの不安につけこんだ転売も。フリーマーケットアプリ「メルカリ」に、通常より高額で出品された酸素缶[アプリ画面より](時事通信フォト)
「ネットで偉そうに言ってる連中もさ、ネットオークションとか背取りとか転売とか、そんなの古物商もとってなければ申告もしてないのばっかりだよ。『俺が言った』で構わないから載っけてくれよ。実際そうだからさ」
悪い話は悪い人から聞く、ということで以前、『マスク転売ヤーの告白 親戚、老人、死人のアカウントまで駆使』で話をうかがった会社経営者に電話をするとこの回答。
「うちは法人だから兼業の話は関係ないけど、納税はしなくちゃだめだよ。でも50万とか程度の稼ぎでやってるほとんどの(転売の)個人勢なんかサラリーマンどころか公務員だっているし、申告してないだろうね。副業禁止ってとこもまだ多いからさ」
そもそも公務員は認められた特別なケースを除けば兼業が禁止されている。しかし筆者も公務員がこうした転売や背取り、情報ビジネスなどで小銭を得ているケースは知っている。内緒なのか黙認なのかはわからないが。もちろん販売規制品の転売やダフ行為、古物商をとっていない場合などを除けば道義的な問題はともかく違法ではない。それこそPS5やガンダムのプラモデル、ナイキのスニーカーなど個人の小遣い稼ぎで転売している連中はネットオークション、フリマアプリ、SNSでいくらでも見つかる。仮に確定申告の必要がないとされる20万円を超えていなくても住民税の届け出は必要である。しかし現実に、それをしている人は少ないだろう。彼らは今回の改正案が通っても痛くも痒くもない。
「悪いやつはなんでもするからね、法人成りって手もある。脱税目的のマイクロ法人が増えるんじゃなかね、実際、持続化給付金なんてそんな連中が群がったじゃないか。みんな現実ではチマチマ悪さしてるんだよ」
PS5で儲けてご機嫌、あいかわらずの自己弁護も兼ねた放言だが、少額でも申告している人たちはいるだろう。しかし彼の意見は一部もっともで、みな品行方正かと言えばそうではない。政治家や芸能人、スポーツ選手まで手を染めていた新型コロナ給付金詐欺、不正受給は記憶に新しいだろう。結局、世の常といえばそれまでだが正直者が馬鹿をみる、明確に事業としての副業をしていたはずの方々が割を食うことになる。
これ以外にも筆者のもとには様々なサラリーマンの副業者から話が舞い込んでいる。今回の改正案に反対という意見が多いが、そもそも各人事情はさまざま、副業の業種によっても変わる。反証の機会があるとはいえ、これを額面通りに受け取る社会人はいないだろう。一例として、ブロガーで筆者に意見をくださった方のコメントをまとめると以下の通り。
「ブロガーなんて雑所得だよって税務署に言われました。副業の場合、とくに新しい業種の場合は仲間もそうですが雑所得にされやすいと思います」