「それに業績の悪い会社とはいえ(私は)正社員ですから、いずれは独立したいとは思っても現状で飛び出すのは現実的ではないです。私たちのようなサラリーマンの副業をさらに縛り上げてどうするのでしょう。関係ない話と言われてしまえばそれまでですが、宗教法人が無税なのに、ですよ」
昨今の宗教問題もあって少し脱線してしまうのは仕方のないことだが、気持ちはわかる。政府は2019年4月から「働き方改革実行計画」としてサラリーマンの副業を推奨した。この国の賃金の上がらない分、空いた時間で働けと民間企業にも協力を求めた。ギグワークはじめ多くの副業にサラリーマンが従事することになったが、それが一段落ついたらこの改革案、正直「やり方が下手くそだなあ」と思う。インボイスもそうだが食ってくために働くレベルの労働者ばかりを狙うようになった。よほど金が無いのか。低額の納税者ほど恩恵を与えたほうが徴収率は上がるはずなのに。
彼のような「生活の足し」として副業に勤しむサラリーマンだけでなく「働き方改革実行計画」より以前から副業というよりは「兼業」で働くサラリーマンも多い。先のWEBエンジニアのような技術者はもちろん、クリエイターなどもまさにそれだろう。この場合も「独立のため」「夢の実現のため」「自己研鑽も兼ねて」という意味合いもある。
「イラストレーターで年間売上げ300万円はきついですね。案件や人気度、技量にもよりますけど。漫画家ならともかく、みなさんが思うほどイラストレーターって稼げませんよ」
彼はあくまで匿名(イメージもあるため)ということで話を伺うが、イラストレーターで専業というのは極めてハードルが高い。多くのファンは人気イラストレーターなら「すごくもらっているのだろう」と思うだろうが、ライトノベル(以下、ラノベ)の表紙でもたいしたことはない。筆者の時代より紙媒体に限れば全体的な単価は下がっている。
「基本、単価仕事ですからね。ラノベなら印税も折半だったりしますけど、ほんとみなさんが思うほどもらえません。それに専業といっても理解ある両親のところで実家住まいとか、あと言い方は悪いですけど収入の太い相方(妻、夫)がいて主婦、主夫兼イラストレーターってのがほとんどじゃないですか。多くはサラリーマンとかの本業しながらですよ」