ビジネス

「300万円以下の副業は雑所得」案 サラリーマンが看過できないデメリット

確定申告期間中の東京国税局(時事通信フォト)

確定申告期間中の東京国税局(時事通信フォト)

 副業収入が300万円以上にならなければ、手元に残るお金が減り、重税感だけが増すことになる可能性が出てきた。従来の副業はもちろん、例えばシェアリングエコノミーのような、スキルなど形がないものも含めた遊休資産の貸し出しを仲介するサービスで、貸主はそれによる収入が得られるというような新たな副業ビジネスなどにも影響があるかもしれない。俳人で著作家の日野百草氏が、まだ改正(案)ながら事業所得・雑所得300万円の壁に悩まされる人たちの声を聞いた。

 * * *
 このままなら、年間売上300万円に満たない副業は反証の通らない限り、事業所得ではなく、すべて雑所得とされてしまうかもしれない。

 国税庁は8月31日まで『所得税基本通達の制定について』とする改正案に関する「意見公募手続」(以下、パブリックコメント)を募集している。拙筆『国税庁「300万円以下の副業は雑所得」案はサラリーマン狙い撃ちの愚策ではないか』は多くの反響をいただいたが「年間売上300万円に満たない副業は原則として雑所得」という案は、現時点ではあくまで「案」とはいえ衝撃的だろう。

・改正案

〈業務に係る雑所得の範囲に、営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得が含まれることを明確化します。〉

〈また、事業所得と業務に係る雑所得の判定について、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定すること、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得と取り扱うこととします。〉

 副業で300万円以上を稼がなければ事業所得ではなく雑所得として取り扱う。つまり青色申告(以下、青色)ができず白色申告(以下、白色)となる。このままなら、改正案の通りになるなら、個人事業で副業を手掛けるサラリーマン、これから始めようとしているサラリーマンにとっては実質「増税」感の増す可能性が高い。

 会社の許可を得て、副業で小規模な案件を請け負う若手Webエンジニアが語る。

「副業は年間150万円くらいです。知り合いの小さな会社をいくつかグロスで請け負っているので事業所得、青色申告で提出していましたが、これからか心配です」

 彼は独身、サラリーマンとしての年収はまだ若いこともあって400万円ほど。副業の売り上げが年間150万円とするなら、経費を20万円として(白色でも経費は計上できる)、青色でなく雑所得となるとおおよそ13万円くらいの実質的な「増税」となるのではないか(あくまで一例としての概算。実際は個人の事情、状況により上下する)。

「この業界は同じように外注として個人で請け負うこともあります。会社にもよるのでしょうが、私は将来のためにもそうしています。サラリーマンとしても手取りが減っていますし、副業を推奨しておいてこれは納得できないですね」

 2022年4月からの雇用保険値上げ、同年10月からの失業保険の値上げ、2023年10月からすべての事業者が消費税を納めることになるインボイスときて、ついに政府はサラリーマンの「副業」に目をつけた。今回の案では、年間売上300万円に満たない副業は反証の通らない限り雑所得とされてしまう。簡単に雑所得のデメリットを挙げる。

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン