この時、実朝とともに殺されたのが、源仲章なのである。実は、事件当日、実朝の供をしていたのは義時だったが、体調不良のため、供を仲章に交代してもらったのだ。そのため、仲章は義時と間違えて討たれた、または義時の陰謀だった、さらには義村が公暁を操り、義時を討つつもりだった、などなど当時からさまざまにウワサされていたという。
かつて同じ時代を描いた大河ドラマ『草燃える』では、この場面、仲章は「(義時は)急に具合が悪くなられてのお~」とのんきな様子。一方で、暗殺計画を知っていた義時(松平健)は、「急に腹が痛くなってな」としれっと言ったりする。そして、三浦義村(藤岡弘、)から、すべての陰謀の張本人は義時だと吹き込まれていたひげボーボーの公暁は、仲章と入れ替わっていたとも知らず、「義時を討ち取ったぞ」と喜んだのもつかの間、討伐されてしまった。
『鎌倉殿の13人』で、公暁を演じるのは、寛一郎。前半、上総広常を演じた佐藤浩市の息子だ。都で修行し、鎌倉に戻ってきた公暁に誰が何を語るのか。高校の同窓で親友という尾上松也と生田斗真が、どんな謀をするのか?しないのか? 今のところ、誰も幸せそうな人がいないというのは、すさまじい話だが、まだまだ鎌倉に緊急事態は続く。仲章はじめ、次々現れるくせ者たちから、目が離せない。