武田信玄を演じた若き日の中井
一方の松平は、時代劇俳優を突き詰める道を歩んできた。代表作は、デビュー5年目の1978年から主演を務めた『暴れん坊将軍』シリーズ(テレビ朝日系)。放送が終了した2008年までに、832回放送された長寿番組だ。時代劇スターとしての地位を確立し、大河ドラマへの出演回数は8回を数える。現在放送中の『鎌倉殿の13人』でも平清盛を演じた。
しかし、年々、地上波で制作される時代劇は減少しており、2016年に『石川五右衛門』(テレビ東京)が終了すると、民放の時代劇のレギュラー枠は消滅。時代劇は大河ドラマや特番に限られるようになった。
時代劇を舞台にわだかまりが生まれたとされているが、それは松平同様、中井も時代劇への思い入れが強いからこそだったのかもしれない。
「中井さんは2013年から断続的に続いている『雲霧仁左衛門』シリーズ(NHK BSプレミアム)でいまも主役を演じ続けています。近年の中井さんは、時代劇は俳優の“伝承科目”だと口にするようになりました。時代劇は、後輩に伝えていかなければならないものという考えを持っているんです。その第一線で活躍する松平さんのことは尊敬もしているんです。
今回は中井さんの主演が決まった段階で、彼に合うビッグな共演者が模索されました。松平さんへのオファーはダメ元だったようですが、OKされた背景には、中井さんのこうした“思い”が松平さんに伝えられた可能性もあります」(テレビ朝日関係者)
近年の松平は、新しい仕事にも意欲的に取り組んでいる。2年前にはYouTubeで自身のチャンネルを開設し、料理やゲームをする姿を配信中だ。
「マツケンサンバをはじめ、いまや一俳優には収まらない存在感を持つ松平さんです。中井さんとの共演に“過去”を思い出す人もいるでしょうが、逆にその“因縁”を払拭するチャンスでもあります。共演NGは“周囲が勝手に言い出したこと”、そんな思いでいるのかもしれません」(前出・テレビ朝日関係者)
大御所同士の“初共演”が待ち遠しい。
※女性セブン2022年9月1日号