野菜の「色」に着目
動脈硬化になりにくい生活習慣を解説していく。
「食事では、肉は脂身を避けて赤身肉や鶏のささみを摂る。サンマやイワシなどの青魚を積極的に食べると、血液をサラサラにするEPAやDHAなどの不飽和脂肪酸を摂れます。また、エビやイカ、タコはこれまではコレステロール値が高く、血管のためになるべく控えるようにと言われてきましたが、最近ではコレステロールの低下作用がある『タウリン』を多く含むことがわかったのでむしろ摂りたい食品です。
脂質の吸収を抑える腸内環境にしていくうえで食物繊維は欠かせないので、なるべく野菜の多い食事を心がけましょう。その際、彩りを意識するのがポイントです。紫キャベツや紫玉ねぎ、ほうれん草の根っこの赤い部分など、野菜の紫や赤色の部分には動脈硬化を予防する成分であるポリフェノールがたくさん含まれています。ポリフェノールには、血管の壁を傷つけて動脈硬化を招く活性酸素を除去する抗酸化作用があります。ワインやブドウ、ブルーベリー、アサイーなどにも多く含まれます」(秋津医師)
適度な運動も欠かせない。コロナ禍が長引き、通勤や外出を控えることが多くなったが、ほとんど動かないのでは血管寿命を縮めてしまう。
「よく“1日1万歩が目安”と言われますが、それにこだわる必要はありません。通勤や自宅での移動を含めて、合計1日30分歩くことを心がけましょう。歩数の目安は5000~6000歩です。適度な有酸素運動が血管をしなやかにします。
明確なエビデンスがあるわけではないのですが、最近はストレッチや体操が血管にいい効果をもたらすと考えられるようになってきました。体が柔らかい人は血管も柔らかいと言われ始めています。反対に、ハードな運動や加圧トレーニングは血管にダメージを与えるリスクがあります。無理のない体操を続けることが、血管力の回復に繋がります」(秋津医師)
これらは、動脈硬化のリスクを下げる可能性があると考えられる取り組みだ。もちろん、少しでも不調を感じるなら、検査と医師による治療が第一となる。
※週刊ポスト2022年9月2日号