国内

鈴木エイト氏「いいように利用する政治家が許せなかった」旧統一教会追及の原点を語る

2000年代から実際に信者の勧誘員と接触し、旧統一教会の実態を調査してきたジャーナリストの鈴木エイト氏

2000年代から旧統一教会の実態を調査してきたジャーナリストの鈴木エイト氏

 今ワイドショーで見ない日はないジャーナリストの鈴木エイト氏。旧統一教会の問題を追及し続ける鈴木氏だが、1990年代に「霊感商法」や「合同結婚式」が大きく取り上げられて以降、世間的な注目度は皆無に等しかった。そんななか、なぜ彼は圧力に屈せず闘ってこられたのか。

 * * *
 ジャーナリストの鈴木エイト氏は、2000年代から実際に信者の勧誘員と接触し、旧統一教会の実態を調査してきた。

「2002年に渋谷駅の南口で偶然、信者が手相の勉強と言って勧誘しているシーンを見たんです。私には一応身内に信者がいてもともと興味があったので、『あ、これが統一教会の勧誘だ』と思って反射的に割って入ったんですが、これが最初のきっかけでした。

 勧誘していた信者の話を聞くと、『勧誘の入り口でたとえ嘘をついても、結果として正しい神の道に導いてあげることがその人のためになる』と純粋に信じているんです。単純な詐欺とは違って、巧妙にマインドコントロールされた信者たちが、教会による搾取の被害者になっていた」

 個人的に調査を始めてから7年ほどは自身のブログに活動を記す程度だったが、その間に「統一教会と政治家の関係を追及しなければいけない」と思うに至るきっかけとなる出来事があった。

「ある無名の政治家が統一教会に通って、地方教会の青年信者たちを選挙運動にフル活用し、区議選にトップ当選したんです。『選挙応援を手伝った』という青年信者に話を聞いて追及を始めたのですが、その途端にその議員は『全く知らなかった、統一教会だとわかっていたら付き合いませんでした』と態度を翻したんですよ。

 完全にどういう団体かわかって利用し、多大な支援を受けていたにもかかわらず、関係を疑われた瞬間に“ポイ捨て”した。大元の組織の意図は別にしても、信者たちは、純粋な思いで選挙応援をしているわけです。教会も悪いが、それをいいように利用する政治家にひどく憤りを感じた」

時給換算で数百円

 2009年からジャーナリストとして本格的に取材活動を始めたが、世間からの後押しは皆無といってよかった。

「この10年、継続して報道していたのは僕だけでした。メディアが完全に自主規制をしていて、一般のバラエティ番組であっても“カルト”という言葉すら簡単に使えなかった。実際に統一教会を扱うと、教団側から執拗なクレームが来るから、『面倒な案件には触れないでおこう』という意識は確実にあったでしょう。僕自身が教会側からマークされていたので、雑誌社で記事を書こうとしても『統一教会ネタ、政治家ネタはNG』と言われる媒体も複数ありました。

 正直、原稿料などは取材と執筆に費やした時間や労力と比べると微々たるもので、時給換算で数百円程度でした。それでも出してくれたほうだとは思うんですけどね。出版社に何度も届く統一教会からの仮処分申し立てなども頻繁にあり、割のいい仕事とは決して言えませんでした」

関連記事

トピックス

遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《スクープ》“連立のキーマン”維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官が「秘書給与ピンハネ」で税金800万円還流疑惑、元秘書が証言
NEWSポストセブン
2018年、女優・木南晴夏と結婚した玉木宏
《ムキムキの腕で支える子育て》第2子誕生の玉木宏、妻・木南晴夏との休日で見せていた「全力パパ」の顔 ママチャリは自らチョイス
NEWSポストセブン
大分県選出衆院議員・岩屋毅前外相(68)
《土葬墓地建設問題》「外国人の排斥運動ではない」前外相・岩屋毅氏が明かす”政府への要望書”が出された背景、地元では「共生していかねば」vs.「土葬はとにかく嫌」で論争
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
《悠仁さまの周辺に緊張感》筑波大学の研究施設で「砲弾らしきもの」を発見 不審物が見つかった場所は所属サークルの活動エリアの目と鼻の先、問われる大学の警備体制 
女性セブン
清水運転員(21)
「女性特有のギクシャクがない」「肌が綺麗になった」“男社会”に飛び込んだ21歳女性ドライバーが語る大型トラックが「最高の職場」な理由
NEWSポストセブン
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン