渡辺氏が入院するのは病棟の高層階にある1泊7万円超の特別室。入室にはカードキーが必要で、主室に加え台所や応接室、テレビ、冷蔵庫、トイレにシャワーまで完備する。
入院患者には食材を厳選した専用メニューや老舗の和菓子が振る舞われ、病室の窓からは都心の夜景を一望できる。
「芸能人や政財界の大物が入る部屋で、医療だけでなく食事や就寝など生活面のサービスが充実しています。渡辺さんの入院費用はすでに1000万円近いと聞く。
昨今は新型コロナの感染拡大で面会が制限されているので、渡辺さんに会いに来る方も限られていた。だからこそ、入院の事実が漏れなかった部分もあります」(前出・病院関係者)
年齢を感じさせない矍鑠ぶりを見せてきた渡辺氏だが、振り返れば数々の病気と闘ってきた。
1998年に前立腺がんの摘出手術を受け、2014年には自宅で酔って転倒し、腕を骨折して1か月ほど入院した。
健康不安説がピークに達したのは2018年8月。全国紙政治部記者が語る。
「2014年と同じく、自宅で酒を飲んで転び、頸椎の一部を骨折しました。この時は都内大学病院のICU(集中治療室)に担ぎ込まれ、一時的に回復したものの、容態が急変して再度ICUに入った。幸い脊髄に損傷はなく、1か月ほどで復帰しましたが、一時は死亡説まで流れて訃報の予定稿を準備したメディアもあったほどです」
同年12月、渡辺氏は巨人の原辰徳監督の野球殿堂入りを祝う会に出席し、入院後初めて公の場に現われた。
新型コロナの感染拡大が始まった2020年4月には読売新聞社の入社式で登壇し、新入社員に向けてタンカを切った。
「経営があまり安定していない社もありますが(中略)あなた方は読売新聞に入った以上、一生苦労はしません!」
病に倒れるたびに不死鳥のごとく復活した渡辺氏。既往症に加え、90代後半での入院生活はどう体に影響するか。
くぼたクリニック松戸五香の窪田徹矢医師が解説する。
「90を超えて自立歩行ができなくなると、足腰の筋肉が一層弱まり、廃用症候群といって寝たきりになるケースもある。特に骨折した部位は高齢になるほどフレイル(虚弱状態)になりやすい」
(後編に続く)
※週刊ポスト2022年9月30日号