国内

全国の地方議会に浸透する旧統一教会 関連団体との関係が発覚した首長・地方議員総覧

旧統一教会関連団体との関係が発覚した首長・地方議員MAP

旧統一教会関連団体との関係が発覚した首長・地方議員MAP

 旧統一教会との関係をめぐり、自民党が公表した党所属の国会議員に対するアンケート調査。だが、国会議員を調べただけでは意味がない。教団が進めていたのは地方議員を懐柔し、中央政界へ“圧力をかける”という政界工作だったからだ。

 現在、全国の知事、市長、県議、市議と旧統一教会との接点が浮上し、教団から多額の寄附を受けていた議員や、教団関連団体の役員を務めてイベントに協力していた首長もいる。別掲のリストには、これまで明らかになった全国の地方議員や首長と旧統一教会の関係がまとめられている。

 北海道から九州・沖縄まで、同教団の政界工作が全国の地方議会に及んでいることがわかる。政治アナリスト・伊藤敦夫氏は教団側の狙いをこう指摘する。

「自民党の国会議員は、選挙の際は地元の県議や市議の後援会組織に依存しているから、その地方議員が推進する政策を無視できない。旧統一教会は地方議員に食い込み、家庭教育支援条例など推進する政策を地方議会から声を上げさせることで、国政に反映させようとしてきた」

“将を射んと欲すればまず馬を射よ”という作戦だ。そうした政界工作は政策面でも大きな効果をあげた。

 教団がLGBT条例に対抗して推進する家庭教育支援法制定をめぐっては、国会に安倍晋三・元首相を会長とする「家庭教育支援議員連盟」(通称「親学」推進議連)が発足し、安倍政権下の2017年には法案が自民党総務会を通過、国会に提出される方針だったが、折からのモリカケ問題で見送られた。

 だが、その間、地方議会では同法の自治体版である「家庭教育支援条例」が県議会や市議会で相次いで可決され、現在、鹿児島、福井、岡山など10県6市で制定されているのだ。

 旧統一教会がブレーキをかけている政策もある。

 国民の間に支持が多い「選択的夫婦別姓」の法制化が自民党の抵抗で進まないのは、「旧統一教会が自民党に強く反対を働きかけている背景がある」と、ジャーナリスト・鈴木エイト氏は指摘する。

 その地方議会ではいま、同教団関連団体から選挙支援を受けていた新田八朗・富山県知事が「政治家として関係を持たない」と宣言に追い込まれ、富山市長、氷見市長、高岡市長らも絶縁を表明、香川県でも教団関連イベントの顧問を務めていた前知事が顧問を辞退するなど、多くの県議会が旧統一教会問題で大揺れとなっている。

 岸田首相は教団との関係について自民党議員へのアンケートでお茶を濁し、「旧統一教会の政策が不当に自民党の政策に影響を与えたことはない」と強弁しているが、それは真っ赤な嘘で、地方議会も国政でも、旧統一教会に染められた政治を行なってきたことはもはや隠しようがないのだ。

【MAPの出典】朝日新聞、岩手日報、愛媛新聞、沖縄タイムス、神奈川新聞、河北新報、岐阜新聞、京都新聞、埼玉新聞、佐賀新聞、産経新聞、静岡新聞、信濃毎日新聞、下野新聞、中国新聞、中日新聞、長崎新聞、新潟日報、日本海新聞、北海道新聞、南日本新聞、山梨日日新聞、琉球新報(五十音順)、他は各自治体の発表や記者会見などで発覚したもの(9月13日時点) 。
※安倍元首相銃撃事件後に発覚したもののうち、とくに政策面や金銭面で教団関連団体と関係があったケース、教団関連団体の役職に就いていたケース、教団と関係がある議員を多く抱える都道府県などをピックアップした。政党の「自民」は自民系会派も含む。

※週刊ポスト2022年9月30日号

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン