ライフ

子どもに多い「アタマジラミ」 先進国でも寄生率高く、世界的に蔓延状態

アタマジラミのリスクとは?(イラスト/斉藤ヨーコ)

アタマジラミのリスクとは?(イラスト/斉藤ヨーコ)

 人間は様々な感染症とともに生きていかなければならない。だからこそ、ウイルスや菌についてもっと知っておきたい──。白鴎大学教授の岡田晴恵氏による週刊ポスト連載『感染るんです』より、アタマジラミについてお届けする。

 * * *
 前号で性感染症のケジラミを取り上げましたが、今号では子どもに多くみられるアタマジラミについて解説しましょう。

 子どもに多いといっても、子どもが感染すると家庭内で家族にうつすことが多く、いきなり成人の我が身に降りかかってくることもあるので侮れません。

 アタマジラミは頭部に寄生するシラミで、痒みを伴う皮膚炎を起こします。小学校、幼稚園、保育所などで発生し、近年増加傾向にあります。そもそもアタマジラミは衛生状態不良などの指標にはあたらず、先進国でもその寄生率は高く、世界的には蔓延状態にあります。

 アタマジラミの成虫の体長は雌が2~4mm、雄が2mmで、肉眼で見える大きさです。灰白色で、吸血した血液が消化管にあるときは黒っぽく見えます。

 幼虫から成虫まで吸血し、1日あたり3~4個の卵を毛髪に産み付けます。フケのように見えますが、セメント状の物質でがっちりと固定されているので、払っただけでは落ちません。

 卵が孵化すると、幼虫は吸血を繰り返して1~2週間で成虫になって産卵を開始します。1匹のアタマジラミが1か月に産卵する卵は約100個。ものすごい勢いで増えるため、頭髪にたくさんの卵がくっ付いていることや、痒みを伴って頭を頻回に掻いたり、頭皮を引っ掻いた傷から細菌の二次感染を起こしたりすることで見つかります。

 保育園ではお昼寝等で、学校では頭がくっ付くような遊びの中で広がり、家庭では頭部が直接接触するような触れ合いで感染します。さらには寝具やタオル、櫛などの共用も要注意です。

 アタマジラミの駆除にはケジラミと同様にピレスロイド系殺虫剤のスミスリンパウダーやシャンプーを使用します。ただ、卵にはこの薬は効果が弱いものですから、目の細かな梳き櫛で何度も毛に付いた卵を物理的に削ぎ落とすことが必要になります。

関連キーワード

関連記事

トピックス

9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
オンラインカジノを利用していたことが判明した山本賢太アナウンサー(ホームページより)
フジテレビ・山本賢太アナのオンラインカジノ問題で懸念される“局内汚染”「中居氏の問題もあるなかで弱り目に祟り目のダメージになる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン