1971年3月に笑顔で婚約を発表した猪木さんと賠償(共同通信社)

1971年3月に笑顔で婚約を発表した猪木さんと賠償(共同通信社)

 当時から倍賞は姉の千恵子(81才)と共に女優として人気を博していたが、豪放磊落で、自称“よく食べる女プロレスラー”。周りの雰囲気を明るくする倍賞の魅力に猪木さんは惹かれていった。

「1971年11月に東京・京王プラザホテルで約1億円をかけた結婚式を挙げました。婚約指輪は1500万円のキャッツアイ。高さ5mのウエディングケーキや豪華な引き出物も話題になりました」(プロレス関係者)

 いまの金額に換算すれば5億円近いド派手婚だったが、新婚夫婦はすぐに試練に直面する。きっかけは猪木さんが当時所属していた日本プロレスを追われたことだった。式の費用は日本プロレスが負担することになっていたが、追放で“自腹”に。さらに、新日本プロレスを旗揚げするために莫大な借金を抱えた猪木さんに、倍賞はこう語りかけたという。

「馬鹿ねえアンタ。お金もらってから辞めればよかったのに。でも、心配しなさんな。あなたひとりくらい私が食べさせてあげる」

 倍賞は女優を休業して猪木さんの仕事を手伝い、宣伝カーのナレーションの吹き込みや、試合のブッキングにも尽力した。猪木さんは自伝『猪木力 不滅の闘魂』(河出書房新社)で、当時の倍賞についてこう書いている。

《厳しい時代だったけど、救われたのが彼女の明るさでね。例えば、会社の宴会なんかがあると、その場をひとつにまとめて盛り上げる能力なんかは凄かった。あの輝きは、俺を何度も助けてくれた》

 1976年、猪木さんは世界をあっと言わせる大勝負に出る。プロボクシング統一世界ヘビー級王者モハメド・アリとの「異種格闘技戦」をぶち上げたのだ。米ニューヨークで行われた調印式には倍賞も同行し、猪木さんの袴の着付けも行った。

「会見のとき、アリが会場にいた倍賞さんをめざとく見つけましてね。『あの人は誰だ』と聞くから『ミセス猪木だ』と答えると、信じられないという顔をするんです。アリは『あんなきれいな人が猪木のワイフなのか?』と驚いていましたが、それくらい魅力的な女性でしたから」(前出・新間さん)

 一人娘をもうけ、公私ともに充実していた夫婦の関係に亀裂が生じはじめたのは1985年。資金集めに奔走する猪木さんは家庭を顧みなくなり、ブラジルの事業にものめり込んだ。

「どうしても今夜は家にいてほしい。そうでなきゃ私たちはダメになる」

 そう訴える妻の言葉に反して、猪木さんは家を空けがちになった。倍賞が映画で共演した萩原健一さん(享年68)との不倫疑惑を報じられたのは1985年。翌年、猪木さんも六本木のクラブママとの密会をすっぱ抜かれ、1988年に離婚が成立した。当時、倍賞と萩原さんは共に不倫を否定したが、離婚成立後に堂々と交際宣言。猪木さんは『週刊ポスト』(1989年6月16日号)のインタビューで複雑な胸中を明かした。

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン