枝野幸男氏(時事通信フォト)
党に言われて解雇した
では、身内を公設秘書にしている議員はどう考えているのか。
二階俊博・前自民党幹事長は後継者候補とされる長男と三男をともに公設秘書にしているし、菅直人・元首相は過去2回、衆院選に出馬して落選した長男を政策秘書に雇っているが、取材に回答がなかった。
長女が政策秘書の森山裕・自民党選対委員長は経緯をこう説明した。
「平成10年に参院議員に初当選したとき、地元鹿児島の政治を行なう上で地元のことを承知し、鹿児島弁がわかる者を秘書にと考えましたが、当時、派閥に所属していなかったため、身近で条件に合致する者として長女がおりました。それ以来、秘書を務めております」
同じ鹿児島選出で長男を政策秘書にしている小里泰弘・代議士は「業務遂行能力、信頼性等を考慮した」と回答した。
リストにはないが、立憲民主党の鎌田さゆり・代議士は最近まで次男を公設秘書にしていた。鎌田氏がこう語る。
「昨年の総選挙の時に次男が選挙を手伝ったこともあって、後援会から公設秘書にしたらどうかと推薦を受けた。衆議院事務局に確認すると、禁じる規則やルールはないというので採用した。しかし、今年8月に辞めています。理由は、音楽活動もやっている次男がそちらに専念したいというので、政治活動に重きを置けないのなら続けさせられないと私が判断したためです」
そういえば、菅義偉・前首相も総務大臣時代に音楽活動をしていた長男を大臣秘書官に起用し、その後、東北新社に勤めた長男が秘書官時代の人脈で総務官僚を接待していた疑惑が問題化した。
今年7月の参院選で日本維新の会から当選したばかりの元女子マラソン選手の松野明美氏も長男を第二秘書にしていたが、辞めさせたという。
「第二秘書として地元で採用しておりましたが、日本維新の会の指示を受けて解職となっております」(松野事務所)
各党に公設秘書雇用についてのルールを取材すると、維新は「衆議院で決めている、配偶者は駄目というものに従うとともに、党で公設秘書の勤務実態は確認をするようにしています」、公明党は「身内は秘書にしないという内規があります」というが、自民党、立憲民主党、国民民主党にはなかった。
岸田首相が息子を秘書官にして恥じないはずである。
※週刊ポスト2022年10月28日号
