ビジネス

膨張する宇宙ビジネス “人工流れ星”を降らすエンターテインメント事業も

人工流れ星を作り出せるか

人工流れ星を作り出せるか(C)2021 ALE Co. Ltd.

 2040年には100兆円の市場規模になるともいわれる世界の宇宙ビジネス。ロケット開発などの本格的なものから、ロケット打ち上げのために必要となる周辺サービス、衛星関連事業、宇宙を舞台にしたエンターテインメント、宇宙に居住するためのアイテム……と、その裾野はあまりに広い。宇宙に行くこと、暮らすことがすべて実現可能な領域に入ってきたいま、そのなかでも特に話題の3社の取り組みを紹介する。

“人工流れ星”で科学とエンタメを促進

『ALE』の「Sky Canvas」は、宇宙を広大なキャンバスに見立てて夜空に人工流れ星を降らす、画期的なエンターテインメント事業。

「200km圏内の人が一同に楽しめる非日常体験をつくりながら、流れ星の軌道や発光から得られた中層大気データで、さまざまな気象現象の解明に役立てたい。宇宙や科学が発展するためには、たくさんの人に興味を持ってもらうことが肝心と考えています」(『ALE』PR・山崎麻里子さん)

“宇宙港”で北海道活性化の推進力に

北海道スペースポート

大樹町は十勝晴れと呼ばれる晴天が多く、太平洋に面し打ち上げに適した立地。射場のほか、3000m級滑走路を併設し、宇宙版シリコンバレーを目指すという(C)SPACE COTAN

 北海道大樹町が1985年から構想を進めてきた宇宙港「北海道スペースポート」での小型人工衛星の打ち上げが、2023年度以降いよいよ実現する。企業や個人の寄付金や内閣府からの交付金を財源として大樹町が建設し、民間事業者『SPACE COTAN』が運営を担う、官民連携の一大プロジェクトだ。

「アジア初の民間に開かれた商業宇宙港として、ロケットの燃焼実験から打ち上げまで手厚くサポートしていく予定です。いずれは技術者や観光客が楽しめる街づくりを行い、元気な北海道の推進力にしたい」(『SPACE COTAN』社長・小田切義憲さん)

“折り紙の技術”で宇宙に家を輸送する

月面での居住空間。OUTSENSE独自の折り構造「イツマシ折り」を導入し、居住空間を確保(C)

月面での居住空間。OUTSENSE独自の折り構造「イシマツ折り」を導入し、居住空間を確保(C)OUTSENSE

 コンパクトに折りたたんだ家をロケットに積載し、宇宙に行ったら展開して居住空間にする──折り紙の技術を使った『OUTSENSE』の「ORIGAMI HOUSE」が話題を集めている。

「折り構造だけでは、パネルの折り目から空気が漏れてしまうので、風船のような膜を張って気密性を高める想定です。環境負担を軽減するためにも3Dプリンタと宇宙資源を使って、現地で資材を生産できればとも考えています」(『OUTSENSE』代表・高橋鷹山さん)

取材・文/辻本幸路

※女性セブン2022年10月27日号

関連記事

トピックス

東日本大震災発生時、ブルーインパルスは松島基地を離れていた(時事通信フォト)
《津波警報で避難は?》3.11で難を逃れた「ブルーインパルス」現在の居場所は…本日の飛行訓練はキャンセル
NEWSポストセブン
別府港が津波に見舞われる中、尾畠さんは待機中だ
「要請あれば、すぐ行く」別府湾で清掃活動を続ける“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(85)に直撃 《日本列島に津波警報が発令》
NEWSポストセブン
宮城県気仙沼市では注意報が警報に変わり、津波予想も1メートルから3メートルに
「街中にサイレンが鳴り響き…」宮城・気仙沼市に旅行中の男性が語る“緊迫の朝” 「一時はネットもつながらず焦った」《日本全国で津波警報》
NEWSポストセブン
津波警報が発令され、ハワイでは大渋滞が発生(AFP=時事)
ハワイに“破壊的な津波のおそれ” スーパーからは水も食料品も消え…「クラクションが鳴り止まない。カオスです」旅行者が明かす現地の混乱ぶり《カムチャツカ半島地震の影響》
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月16日、撮影/横田紋子)
《モンゴルご訪問で魅了》皇后雅子さま、「民族衣装風のジャケット」や「”桜色”のセットアップ」など装いに見る“細やかなお気遣い”
夜の街での男女トラブルは社会問題でもある(写真はイメージ/Getty)
「整形費用返済のために…」現役アイドルがメンズエステ店で働くことになったきっかけ、“ストーカー化した”客から逃れるために契約した「格安スマホ」
NEWSポストセブン
牛田茉友氏はNHKの元アナウンサーだったこともあり、街頭演説を追っかける熱烈なファンもいた(写真撮影:小川裕夫)
参院選に見るタレント候補の選挙戦の変化 ラサール石井氏は亀有駅近くで街頭演説を行うも『こち亀』の話題を封印したワケ
NEWSポストセブン
大谷家の別荘が問題に直面している(写真/AFLO)
大谷翔平も購入したハワイ豪華リゾートビジネスが問題に直面 14区画中8区画が売れ残り、建設予定地はまるで荒野のような状態 トランプ大統領の影響も
女性セブン
技能実習生のダム・ズイ・カン容疑者と亡くなった椋本舞子さん(共同通信/景徳鎮陶瓷大学ホームページより)
《佐賀・強盗殺人》ベトナム人の男が「オカネ出せ。財布ミセロ」自宅に押し入りナイフで切りつけ…日本語講師・椋本舞子さんを襲った“強い殺意” 生前は「英語も中国語も堪能」「海外の友達がいっぱい」
NEWSポストセブン
大日向開拓地のキャベツ畑を訪問された上皇ご夫妻(2024年8月、長野県軽井沢町)
美智子さま、葛藤の戦後80年の夏 上皇さまの体調不安で軽井沢でのご静養は微妙な状況に 大戦の記憶を刻んだ土地への祈りの旅も叶わぬ可能性も
女性セブン
休場が続く横綱・豊昇龍
「3場所で金星8個配給…」それでも横綱・豊昇龍に相撲協会が引退勧告できない複雑な事情 やくみつる氏は「“大豊時代”は、ちょっとイメージしづらい」
週刊ポスト
NYの高層ビルで銃撃事件が発生した(右・時事通信フォト)
《5人死亡のNYビル乱射》小室圭さん勤務先からわずか0.6マイル…タムラ容疑者が大型ライフルを手にビルに侵入「日系駐在員も多く勤務するエリア」
NEWSポストセブン