ビジネス

『舞いあがれ!』で話題の生駒山上遊園地 存在感たっぷりのケーブルカーは「ワンセットの関係」

宝山寺線を走るネコ形ケーブルカー「ミケ」

宝山寺線を走るネコ形ケーブルカー「ミケ」

 日本最古のケーブルカーが奈良県にある。近鉄生駒駅に隣接する鳥居前から生駒山上まで約2キロを結ぶ、近鉄生駒ケーブルだ。ケーブルカーとしても日本の先駆けだった生駒ケーブルは、沿線の遊園地と一体化することで効果を生むという意味でも先駆けとなっている。単なる移動手段の枠を越えた存在感を発揮する鉄道について、ライターの小川裕夫氏がレポートする。

 * * *
 2022年度後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)『舞いあがれ!』が注目を集めている。17日に放送された第11回では、ヒロインの岩倉舞(幼少期を演じる浅田芭路)が父(高橋克典)に飛行機に乗った際の感想を興奮気味に語るシーンが描かれた。父は過去に奈良県生駒山でグライダーを見た話をし、19日放送の第13回では父娘で生駒山の遊園地を訪れた。

 ドラマ内で描かれた生駒山の遊園地は、近畿日本鉄道(近鉄)の系列の会社が運営する奈良県の生駒山上遊園地がモデルだ。

「生駒山上遊園地は近鉄の前身でもある大阪電気軌道(大軌)が1929年に開設した遊園地です。遊園地の開園と同時に遊園地までアクセスする近鉄生駒鋼索線の山上線が開業しています。遊園地とケーブルカーはワンセットのような関係です」と説明するのは近鉄広報部の担当者だ。

 いまや日本最大のネットワークを有する近鉄だが、開業までの道のりは平坦ではなかった。明治末から大正期にかけて、大阪は工業都市として発展して東京を凌ぐ日本一の経済都市となった。その反面、工場からの排煙や排水によって大気汚染や水質汚染といった生活環境が深刻な社会問題になっていた。

 大阪を地盤とする私鉄は、郊外に路線を延ばして沿線に住宅地を建設。好環境の郊外に住み、そこから仕事に通うという生活スタイルを定着させていく。

 大阪―神戸間には阪神と阪急、大阪―京都間には京阪、大阪―堺間には南海といった具合に、私鉄は大阪と近隣の大都市とを結んでいった。後発だった大軌は、空いている奈良方面へと線路を延ばす。しかし、ここに立ちはだかったのが生駒山だった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

筑波大学で学生生活を送る悠仁さま(時事通信フォト)
【悠仁さま通学の筑波大学で異変】トイレ大改修計画の真相 発注規模は「3500万円未満」…大学は「在籍とは関係ない」と回答
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
《佳子さま盗撮騒動その後》宮内庁は「現時点で対応は考えておりません」…打つ手なし状態、カレンダー発売にも見える佳子さまの“絶大な人気ぶり”
NEWSポストセブン
監禁暴行の被害女性はW不倫の相手と別れ話で揉めていた(写真提供/イメージマート)
《ベテラン刑事が振り返る仰天事件》幼い娘2人を放置し…不倫相手に溺れた末、DVから逃げて警察署へ駆け込んだ母親 子供を保護した警察官へ放った「私は母である前に女なんです」
NEWSポストセブン
空いている電車内で居眠りしていた様子を盗撮され、一方的に非難する字幕とともにSNS投稿された(写真提供/イメージマート)
《SNSへの勝手なさらし被害》障がい者の家族がいる女性が専用スペースに車を駐車したところ…「不正利用」と決めつけられ”言い合い”の動画が拡散
NEWSポストセブン
中国が台湾侵攻を決断したらロシアが呼応する可能性も(習近平主席/EPA=時事)
《EU国防委員らが警告》2027年はロシアと中国の同時侵攻が現実化する「最も危険な瞬間」、中国の台湾侵攻にロシアが呼応する可能性
NEWSポストセブン
2025年7月場所
名古屋場所「溜席の着物美人」がピンクワンピースで登場 「暑いですから…」「新会場はクーラーがよく効いている」 千秋楽は「ブルーの着物で観戦予定」と明かす
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
【衝撃の証拠写真】「DVを受けて体じゅうにアザ」「首に赤い締め跡」岡崎彩咲陽さんが白井秀征被告から受けていた“執拗な暴力”、「警察に殺されたも同然」と署名活動も《川崎・ストーカー殺人事件》
NEWSポストセブン
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《“ドバイ案件”疑惑のウクライナ美女》参加モデルがメディアに証言した“衝撃のパーティー内容”「頭皮を剥がされた」「パスポートを奪われ逃げ場がなく」
NEWSポストセブン
今はデジタルで描く漫画家も多くなった(イメージ)
《漫画家・三田紀房の告白》「カネが欲しい! だから僕は漫画を描いた」父親の借金1億円、来る日も来る日も借金を返すだけの地獄の先に掴んだもの
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
【伊東市・田久保市長が学歴詐称疑惑に “抗戦のかまえ” 】〈お遊びで卒業証書を作ってやった〉新たな告発を受け「除籍に関する事項を正式に調べる」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
《不動産投資会社レーサム元会長・注目の裁判始まる》違法薬物使用は「大きなストレスで…」と反省も女性に対する不同意性交致傷容疑は「やっていない」
NEWSポストセブン
女優・福田沙紀さんにデビューから現在のワークスタイルについてインタビュー
《いじめっ子役演じてブログに“私”を責める書き込み》女優・福田沙紀が明かしたトラウマ、誹謗中傷に強がった過去も「16歳の私は受け止められなかった」
NEWSポストセブン