市販薬のなかでも身近な風邪薬である総合感冒薬にも注意が必要だ。前出・谷本医師が言う。
「総合感冒薬には様々な成分が入っており、人によって身体に合わない成分が含まれる可能性があるので気をつけていただきたい。なかでも高齢の方に注意してほしいのが咳を止める作用を持つコデインで、これを過剰に飲み続けるとトラブルが起こりやすくなります。腸の働きが悪くなって便秘になるほか、前立腺肥大に影響して尿が出にくくなる人もいます」
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は「市販薬だから効果が弱い」と考えている患者の判断の危うさをこう説く。
「一般的に、市販薬の成分はそれほど強くないので、適切な量を守れば問題はありません。しかし、化学物質である以上、何らかの影響がある可能性はゼロではない。スティーブンス・ジョンソン症候群という重篤な副作用を起こす原因薬物は、市販薬にも含まれています。
危険なのは、『念のため』に飲むことです。処方薬は決められた日数分しか処方されませんが、市販薬は自己判断で飲み続けられてしまう。『市販薬だから効果が弱いはず。だから副作用も起こらないはず』とは思わないでください」
症状が長く続くようなら、早めの受診が必須だ。
※週刊ポスト2022年11月11日号