因縁除けの守護神はあらゆる悪縁を断つ
【東京】豊川稲荷東京別院内叶稲荷尊天
住所:東京都港区元赤坂1-4-7
東京・赤坂。大都会の一角にたたずむこの寺は、江戸時代、大岡越前守忠相公が日常信仰していた豊川稲荷(愛知県)の分霊を祀っている。
豊川稲荷といえば、今川義元、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康など、武将たちからの信仰があつく、江戸時代には、商売繁盛、家内安全、福徳開運のご利益があると、庶民にも信仰されていった。
境内には、本殿のほかに9つの社があり、中でも最も奧の位置に鎮座するのが、縁切りのご利益があるという叶稲荷尊天だ。
人間関係のみならず、土地、家、方位、厄などのあらゆる悪縁を断ち、禍事災難を取り除いてくれるという。ここで縁切りを祈り、お礼参りに訪れたというRさん(55才)はこう話す。
「高校時代からの親友が、ネットワークビジネス(マルチ商法)にはまってしまい、会うたびに化粧品やサプリメントを売りつけてきたり、会員になるよう説明会に誘ってくるようになったんです」
絶縁しようかと思ったが、40年近く培ってきた友情に終止符を打つのは悲しい。そこで縁切り寺を訪れたという。
「私たちの縁ではなく、問題のあるビジネスと親友の縁が切れればいい、とひらめいたのです。それでこちらの叶稲荷尊天にお願いすることにしました」
参拝の手順としてはまず、豊川稲荷東京別院本殿に参る。その後、叶稲荷尊天で祈願し、鳥居と白い狐が描かれた絵馬(500円)に願い事を書く。絵馬は境内の授与所でいただくのだが、手渡される前に火打ち石を打ってくれる。これで魔が祓われるという。
「絵馬を奉納してから2か月後に親友から、悪徳ビジネスから手を引いたとの連絡が来ました。離婚して経済的に不安な中、冷静な判断ができなくなったと、謝ってくれました。いまは就職して正社員として働き始めたようです」
むやみに縁を切るのではなく、自分の幸せのために何と縁を切るべきか考える──Rさんの選択は参考にできるかもしれない。