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“縁切り寺社”参拝者は何を願ったのか「親友がネットワークビジネスに…」「雨女で…」

陽運寺

陽運寺の本堂の於岩観音。境内では週末限定で練りきりとお抹茶がいただける

 人の縁をはじめ、病気、肥満、悪癖など、意のままにならない“不幸”から逃れたい──そんな切実な思いを抱え、最終手段として神仏に頼ろうと、“縁切り寺社”を訪れる人は多い。現代日本人は、一体どんな悩みを抱えているのか、参拝者たちに話を聞いた。

怪談で知られるお岩さんを祀る寺

【東京】陽運寺(於岩稲荷)
住所:東京都新宿区左門町18

 江戸時代の元禄期(1680~1709年)に起きたとされる事件などを基に創作された鶴屋南北作の歌舞伎狂言『東海道四谷怪談』。この作品では、貞女・岩(通称・お岩さん)が夫・伊右衛門の裏切りで殺され、幽霊となって復讐を果たす。そのお岩さんを祀ったのが、この寺である。堂内にはお岩さんの立像が奉祀され、縁切りのほかに、歌舞伎などの芸能事の成功に霊験があると信仰を集めている。

 東京・四谷の閑静な住宅街にたたずむこの寺は、20~30代の女性参拝客が多い。

 友人2人で参拝に来た20代の女性はそれぞれ、

「肌トラブルと縁切りしてくれるって聞いたので」
「私は“雨女”なんです。来月のテニスの試合はどうしても晴れてほしくて雨との縁切りを祈りに来ました」

 などと笑う。また、ここはSNS上の縁切りにもご利益がある。1年前にこの寺に参拝して元彼と縁切りし、現在の婚約者と参拝に来たというR恵さん(32才)はこう話す。

「去年つきあっていた5才年下の元彼は、職業も学歴も嘘だらけ。それがわかって別れようとしたら、私のSNSに悪口が書き込まれるようになったんです」

 困り果ててここに参拝し、「切」の絵馬を奉納。同時に、SNSのアカウントをすべて削除し、新たに作り直したところ、それ以上の被害は起こらなかったという。

 怪談の登場人物ゆかりの寺というと恐ろしいが、実際は女性にやさしいご利益が期待できる癒しの寺だった。

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