1993年には「ドーハの悲劇」を体験(右が森保氏/時事通信フォト)

1993年には「ドーハの悲劇」を体験(右が森保氏/時事通信フォト)

「モリ・ホイチって誰?」

 大きな分岐点となったのは1992年。恩師であるオフト氏が代表監督に就任したことに伴って、初めて日本代表に選出されたのだ。

 当時もまだ無名で、同じ代表選手の間では、「モリ・ホイチって誰?」との疑問が飛び交い、試合では観客席から「モリホ」コールが飛んだなどの逸話が伝えられる。

 そんな評価が一変したのが、オフトジャパンにとって初の国際試合となる1992年5月の強豪アルゼンチン戦だった。

「森保くんは激しい寄せや素早いパス回しで奮闘し、試合後、相手の監督やスター選手が『モリヤスが印象に残った』と褒めた。これで一気に脚光を浴び、日本代表の守備的MFとして定着しました」(今西氏)

 1993年10月には悲願のW杯本戦初出場をかけてイラクと対戦し、終了間際にゴールを奪われて出場を逃す「ドーハの悲劇」も経験した。フル出場した森保氏は試合後の記憶がなく、気づいた時はホテルのベランダで泣いていたという。

 オフト監督時代、森保氏はゲームの流れを読み、しつこくボールを拾っては味方に供給し、相手のスペースを消すために走り回った。華麗なゴールを決めるでもなく、地味で目立たず、泥にまみれる役割だった。

 森保氏は、自伝『ぽいち』(アスペクト刊)のなかで当時のことについてこう語っている。

〈オフト監督には「モリヤス、ダーティワークをしなさい」とよく言われていた。汚いプレーをしなさい、という意味ではない。いわゆる汚れ役、掃除役に徹しなさい、という意味である〉

 代表監督に向けられる辛辣な声にも真摯に耳を傾けた。批判という「泥」を被る姿は現役時代から変わらぬものなのだ。

後編につづく

※週刊ポスト2022年12月9日号

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン