デリバリーサービスで急増するトラブル
コロナ禍で外食を控える人が多いなか、スマホのアプリをタッチすれば、食べたいご飯が数十分で自宅に届くデリバリーサービスの需要は拡大を続けている。一方で、近年はAさんのように配達員と客との間でトラブルも急増している。全国紙社会部記者が語る。
「2021年1月にウーバーイーツの配達員だった38歳の男が帰宅途中の女子高生をスタンガンで脅そうとして、強制わいせつ未遂で逮捕されました。複数の防犯カメラに配達バッグを背負った男が映っており、配達をしながら女性を物色していたようです。
今年11月にも配達員が低評価をつけられた女性宅を再訪し、玄関のドアにカレーをまいたとして住居侵入容疑で逮捕されました。便利なサービスですが、個人情報などのセキュリティにかかわる問題も浮上しています」
身の危険を感じたAさんは勤務先の上司に相談。心配した上司が出前館に連絡をしたが、出前館の対応は想定外のものだったとAさんは語る。。
「上司から出前館に、『本人(配達員の男)を問い詰めると、逆上して何をするかわからないので、責任者と慎重に話を進めたい』と伝えてもらいました。すると、7月25日に出前館から連絡があり、『本人に確認したところ“もう行きません”と言っています。個人情報の記録も配達員はもう見ることはできません』とのことでした。報復が怖いから慎重にとお願いしていたのに、勝手に出前館側が配達員の男性に連絡してしまったのです。配達員の男性は自宅と私の名前と顔、電話番号も知ってしまっています。とても軽率な行動だと思います」
Aさんは「謝罪をしたい」と話していた出前館からの連絡を待ったが、数日経っても連絡はなかった。仕方なくAさんから出前館に問い合わせたところ、返ってきたのは耳を疑う担当者の発言だった。
「担当者は本部からの通達を読み上げる感じで『配達員とは業務委託の契約なので出前館としては責任は持ちません。何か被害があるのでしたら、警察へ行ってください』と、一方的に言ってきました。最近はフードデリバリーの事件が多いので、すべてに会社が対応していたら大変なのはわかりますが、『出前館』という看板を背負わせているのですから、責任はあると思います。
私は出前館を信頼して利用していました。配達員ももちろん許せませんが、業務委託だからといって、開き直る出前館の姿勢も許せません。こちらだけが怖い思いをして泣き寝入りするしかなく、本当に悔しいです」