しかし、新型インフルエンザの大流行の中で、子らのために予防と対策に人事を尽くし、子らのために生き続けたいという彼女の願いには、弟に生きて帰れと謳い、命を尊び守ることを最優先とした思いと同一の理念が生きているように思います。
だからこそ、私は新型ウイルスには最悪の事態を想定して、先手を打っていく対策を提言すべきと思ったのかもしれません。新型コロナは第8波となり、季節性インフルエンザの同時流行も危惧される中、鳥インフルエンザの国内発生の報告もあり、感染症の危機管理の必要性を強く感じます。
【プロフィール】
岡田晴恵(おかだ・はるえ)/共立薬科大学大学院を修了後、順天堂大学にて医学博士を取得。国立感染症研究所などを経て、現在は白鴎大学教授。専門は感染免疫学、公衆衛生学。
※週刊ポスト2022年12月9日号