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旧統一教会と対峙する霊感商法対策弁護団の戦いの歴史 転機となった「青春を返せ」訴訟

1987年の結成以来、35年にわたって旧統一教会と対峙してきた全国弁連

1987年の結成以来、35年にわたって旧統一教会と対峙してきた全国弁連

 文部科学省は旧統一教会に対して初の質問権を行使し、政府は今国会に提出する被害者救済新法について閣議決定した。旧統一教会問題がようやく前進しようとしているが、ここまでたどり着くには旧統一教会と対峙してきた弁護団の孤軍奮闘があった。

 さる11月29日、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)が記者会見を開き、政府が提示した旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の被害者救済法案の条文案を批判した。全国弁連は1987年に結成以来、35年にわたって旧統一教会と対峙し、教団が元信者など多くの被害者から奪い取った財産を取り戻してきた。

 全国弁連にとって大きな転機となったのは、「青春を返せ」訴訟だった。教団を脱会した元信者が、「教団の勧誘方法は憲法で保障された信教の自由を侵害する違法なものだ」と教団に損害賠償を求めた裁判だ。訴訟を担当した一人でもある河田英正・弁護士が語る。

「霊感商法の訴訟で教団側は『信者は喜んでやっていた』『任意でやっていた』と主張した。実態はそうではなく勧誘から始まる一連の行為が教団による金銭収奪システムであり、統一教会の宗教活動行為が違法だったことを立証する裁判でした」

 1989年に岡山地裁で起こした裁判は河田弁護士が裁判長に対して裁判長忌避を宣言するなどしたが、10年以上の審理を経て敗訴。二審の広島高裁岡山支部が同教団の伝道活動の違法性を認定する全国初の判決を下し、2001年に最高裁で確定した。

 しかし、司法当局が取り締まりに動くにはさらに時間がかかった。

 警視庁公安部が動いたのは2009年、姓名判断を装って通行人を勧誘し、「先祖が人を殺しており、その因縁がふりかかっている」などと脅して高額な印鑑を売りつけていた統一教会の関連会社に強制捜査が入り、社長など7人を逮捕。東京地裁は同社と統一教会の関係を認定し、「犯情は極めて悪い」と特定商取引法違反(威迫・困惑)で有罪判決を下した(確定)。

 全国弁連は、「判決の意義は極めて大きい」という声明を出しつつも、文科省に対し、統一教会に「宗教法人法にもとづく調査、業務停止命令、解散命令申し立ての権限を行使すべきだ」と求めた。だが、政府は動かなかった。旧統一教会を追及してきたジャーナリストで前参院議員の有田芳生氏が語る。

「統一教会自体の勧誘に派手さがなくなると、世間は統一教会の問題を忘れ、メディアも取りあげなくなった。しかし、その間も被害は続いており、全国弁連は相談を受けて活動してきた。正に地道な活動です。長年続けてきた弁護士が、『私はいつまでやっているんだろう』と漏らしたこともありました」

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