芸能

高田文夫氏が語る、立川志の輔と桂文珍 東西大御所落語家のいい年齢のとり方

高田文夫氏とも長いつきあいの東西大御所(イラスト/佐野文二郎)

高田文夫氏とも長いつきあいの東西大御所(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、長いつきあいの東西の大御所落語家についてつづる。

 * * *
 サッカー一色の昨今、私は演芸一色。立川談春の弟子のこはるがやって来て「少々お話があるので耳をお貸し……」「右の? 左の?」「どっちでも大丈夫です」のあとに言うことにゃ“来春、真打ちに昇進することとなりました”とのこと。立川流初の女性真打ちの誕生である。談春一門みんな辞めちゃってこはるひとりで17年。よくぞ耐えたものだ。めでたい。なんたって大学院まで出ている。“こはる”改め“小春志”となる(ン? この報告、先週した?)。

 11月21日は立川談志の命日(2011年)。あれから11年。来年は13回忌。私のラジオゲストに立川志の輔来る。髪の毛も白いものが目立っていい年齢のとり方である。連れて来た新真打、志の春の髪の色を見てびっくり。まっ赤なのだ。赤茶とでも言うのか。私が「なんだ? その頭。錆びたのか」に「えへへ。でも亡くなった円楽師匠は、昔から“錆も味になる”って言ってました」だと。師弟で「頭の紅白歌合戦だネ」と言ったら志の輔「二番弟子の志の八ってのがとうとうチョンマゲを結いました」君ら一門はカミガタ落語か。

 24日は大きな銀座ブロッサムで“柳亭市弥改メ八代目柳亭小燕枝真打昇進披露公演”。私の中学(世田谷の公立)の後輩というだけで呼ばれ、「ちょっと出てふざけてくれればいい」と言う。落語協会会長・柳亭市馬の弟子である。

 口上も豪華で落語芸術協会会長・春風亭昇太、上方落語協会重鎮、桂文珍、足が痛い柳家喬太郎、前の小燕枝、さん遊。

 久しぶりに文珍師と会ったが何か同い年というのは嬉しいもの。

「まだ8・8文珍デーの大きな独演会やってるの?」「もう43年目ですわ」「最初の頃、呼んでくれてゲストで一席やったよな」「そうですそうです。あの時高田さんの荷物持ちで連れてきた子、ボンヤリしてて。“この子いま東京で一番面白い若手”って言ってて、それが(昇太を指さし)今や会長ですわ。お互い年とるはずや」だと。「会長」で「笑点」の司会者はその頃の恩を何も覚えちゃいない。

 孫たちを連れて「おいしい物でも食べよう」と一泊神戸、大阪へ。帰りの新幹線車中、トイレへ行こうと歩いていたら峰竜太にバッタリ。これ又久しぶり。嬉しくなって「美どりちゃんも元気?」すかさず「段々根岸に似てきまして」。いいことだ。

 業界では根岸とは先代三平夫人のこと。その住まいからこう呼ぶ。私も世話になった。

※週刊ポスト2022年12月16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

石破茂・首相の退陣を求めているのは誰か(時事通信フォト)
自民党内で広がる“石破おろし”の陰で暗躍する旧安倍派4人衆 大臣手形をバラ撒いて多数派工作、次期政権の“入閣リスト”も流れる事態に
週刊ポスト
1999年、夏の甲子園に出場した芸人・とにかく明るい安村(公式HPより)
【私と甲子園】1999年夏出場のとにかく明るい安村 雪が降りしきる母校のグラウンドで練習に明け暮れた日々「甲子園を目指すためだけに高校に通った」 
女性セブン
クマ外傷の専門書が出版された(画像はgetty image、右は中永氏提供)
《クマは鋭い爪と強い腕力で顔をえぐる》専門家が明かすクマ被害のあまりに壮絶な医療現場「顔面中央部を上唇にかけて剥ぎ取られ、鼻がとれた状態」
NEWSポストセブン
小島瑠璃子(時事通信フォト)
《亡き夫の“遺産”と向き合う》小島瑠璃子、サウナ事業を継ぎながら歩む「女性社長」「母」としての道…芸能界復帰にも“後ろ向きではない”との証言も
NEWSポストセブン
ジャーナリストの西谷格氏が新疆ウイグル自治区の様子をレポート(本人撮影)
《新疆ウイグル自治区潜入ルポ》現地の人が徹底的に避ける「強制収容所」の話題 ある女性は「夫は5年前に『学習するところ』に連れて行かれ亡くなりました」
週刊ポスト
会見で出場辞退を発表した広陵高校・堀正和校長
《海外でも”いじめスキャンダル”と波紋》広陵高校「説明会で質問なし」に見え隠れする「進路問題」 ”監督の思し召し”が進学先まで左右する強豪校の実態「有力大学の推薦枠は完全な椅子取りゲーム」 
NEWSポストセブン
起訴に関する言及を拒否した大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平、ハワイ高級リゾート開発を巡って訴えられる 通訳の次は代理人…サポートするはずの人物による“裏切りの連鎖” 
女性セブン
スキンヘッドで裸芸を得意とした井手らっきょさん
《僕、今は1人です》熊本移住7年の井手らっきょ(65)、長年連れ添った年上妻との離婚を告白「このまま何かあったら…」就寝時に不安になることも
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
《広陵高校、暴力問題で甲子園出場辞退》高校野球でのトラブル報告は「年間1000件以上」でも高野連は“あくまで受け身” 処分に消極的な体質が招いた最悪の結果 
女性セブン
お仏壇のはせがわ2代目しあわせ少女の
《おててのシワとシワを合わせて、な~む~》当時5歳の少女本人が明かしたCM出演オーディションを受けた意外な理由、思春期には「“仏壇”というあだ名で冷やかされ…」
NEWSポストセブン
広陵野球部・中井哲之監督
【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答
週刊ポスト
薬物で何度も刑務所の中に入った田代まさし氏(68)
《志村けんさんのアドバイスも…》覚醒剤で逮捕5回の田代まさし氏、師匠・志村さんの努力によぎった絶望と「薬に近づいた瞬間」
NEWSポストセブン