赤川さんは定期健診によって胆のうがんが見つかった
赤川:作家の世界もずいぶん変わりました。昔は新人賞を受賞して編集者の目に留まらないとデビューできなかったのが、インターネットで話題になれば本になる時代です。
和田:だから年金暮らしが始まったら子供にお金を残そうなんて考えずに好きなことをすべき。娘2人は、「これからの時代、男に養われるという考えは通用しない」と言って育てました。
赤川:立派ですね。うちではいちばん偉いのが猫のポプリ、次が娘でその次が妻、最後がぼくという序列です(笑い)。
和田:家庭内で立場が弱いのはぼくも一緒。娘には口も利いてもらえない時代もありました(苦笑)。
赤川:ぼくは本当に小説を書くことしかできないから、妻がいなくなったら大変。先立たれたらどうしようかと日々悩んでいます。2023年が金婚式なんですけど、お互いに「自分ががまんしたから続いた」と言い合いながら一緒に歌舞伎を見に行ったり……。結構、おしゃべりはする方だと思います。
和田:おしゃべりは精神医学の観点からしてもすごくいいですね。自分の考えをアウトプットすることは重要ですから。
(第4回へ続く。第1回から読む)
【プロフィール】
赤川次郎(あかがわ・じろう)/1948年、福岡県生まれ。1976年『幽霊列車』でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、小説家デビュー。ユーモア・ミステリー、サスペンス、恋愛小説と幅広いジャンルで活躍し、1980年に『悪妻に捧げるレクイエム』で角川小説賞、2016年には『東京零年』で吉川英治文学賞を受賞。『三毛猫ホームズの推理』『セーラー服と機関銃』『夢から醒めた夢』など映像化・舞台化作品も多数。累計発行部数は3億3000万部を突破している。
和田秀樹(わだ・ひでき)/1960年、大阪府生まれ。精神科医。東京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、ルネクリニック東京院院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上高齢者医療の現場に携わる。診療の傍ら、医療や受験など幅広いテーマで執筆を行い、著作『80歳の壁』は2022年の年間ベストセラーに。
撮影/chihiro.
※女性セブン2023年1月5・12日号
和田秀樹さん

