アカウント取引サイトで販売される認証バッジや数十万のフォロワーがついたSNSアカウント(イメージ、時事通信フォト)
Twitter界隈の専門用語やネットスラングや具体的な数字なども本稿の主題ではないため適宜改めるが、「垢消し」とはアカウントそのものを消してしまうことだ。「そんなのだらけ」かは知らないが、確かにTwitterユーザーなら、よくわからない副業応援やら集客コンサル、物販スクールといったアカウントにフォローされた経験はあるだろう。
「垢消しまでいかなくても、インプレッション数がわかるようになった途端にずっとリツイートだけとか、ただ沈黙してるのとかもいますね。そりゃ困りますよね、フォロワーがたくさんいる人気者の『設定』なんですから」
さっきから「設定」とはどういうことか。
「まあフォロワー買ってるんですよ。買ってインフルエンサーという『設定』を作ってるんです。売ってるとこなんてネットで検索すればいくらでも出てきますよ。見栄っ張りが買ってる場合もありますけど、大半はビジネスでしょう」
宣伝のためなら有名無名関係なく、なんでもする
Twitterではフォロワーを購入しての水増し行為を禁止している。最悪の場合、アカウントも凍結(削除)されてしまう。
「凍結されない程度にゆっくり、うまくやるんですよ。良質な日本人のアカウントでね。もちろんそいつらもバイトです。実際、凍結されずにうちも含めてたくさんのフェイクな『フォロワー万超え』がいたわけですから」
もう8年も前になるが、そうした売買による水増しでフォロワーだけでなく「いいね」「リツイート」を買って稼ぐ行為が世界的に話題となったことがある。真相はわからないが、アメリカでは元大統領やハリウッドセレブ、世界的インフルエンサーまでフォロワー数やエンゲージメント率(いいねやリツイートといった反応率)に「フェイク」(偽)のアカウントが関与していると報道された。
「影響力と金儲けのための誘引、宣伝のためなら有名無名関係なく、なんでもするってことですよ」
それがイーロン・マスク氏による会社買収と、以前の米Twitter社員および日本法人であるTwitterJPの大量解雇を経て、「みんなにインプレッション数の見える仕組み」という新たな段階に入った。マスク氏はこの新機能『View Count』と説明している。またTwitterアカウントの90%以上がツイートを読んでも「いいね」や「リツイート」をしてないという点を指摘、インプレッション数の可視化で「反応がなくてもちゃんと読まれている」という、Twitterがそれまでの見かけ以上に活発な点を示したいとした。
「マスクは何するかわかりませんから、しばらくは様子見です。ただ今回はいきなりだったので対応できませんでしたが、インプレッション数だけなら簡単に増やすことはできるでしょう。(現時点では)自分しか見られない詳細インプレッションと違って表に表示される数字(「View Count」)はIP関係ないみたいですし、やってみればわかりますが(現時点では)自分で自分のツイートを何回も見れば増えます。例えばbot(自動化システム、この場合は「Twitter bot」など)でたやすく水増しできると思います」
