芸能

『どうする家康』古沢良太氏と『鎌倉殿の13人』三谷幸喜氏、「奇才」2人の類似点

古沢良太氏

『どうする家康』の脚本を務める古沢良太氏

 放送前から注目を集める嵐・松本潤主演のNHK大河ドラマ『どうする家康』。脚本を務めるのは古沢良太氏だ。昨年は1年を通して三谷幸喜氏脚本の『鎌倉殿の13人』が話題となったが、『どうする家康』はどんな作品になるのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが2人の脚本家の類似点とともに解説する。

 * * *
 8日夜、2023年の大河ドラマ『どうする家康』がスタートします。

 同作の主人公は誰もが知る徳川家康であり、演じるのも国民的アイドル・嵐の松本潤さん。家康と並び立つ三英傑の織田信長を岡田准一さん、豊臣秀吉をムロツヨシさんが演じることなども含め、知名度の高い“個”をベースにした作品である様子がうかがえます。

 しかし、そんな登場人物やキャストにも負けない強い“個”として業界内で注目を集めているのが、脚本を担う古沢良太さん。これまで映画『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ、『キサラギ』、『探偵はBARにいる』、『エイプリルフールズ』、『ミックス。』、ドラマ『ゴンゾウ 伝説の刑事』(テレビ朝日系)、『外事警察』(NHK)、『鈴木先生』(テレビ東京系)、『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)シリーズ、『デート~恋とはどんなものかしら~』(フジテレビ系)、『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)などを手がけ、業界内で「天才」とも「奇才」とも言われる脚本家です。

 古沢さんに業界内の注目が集まっている理由は、その実力や実績によるものだけではありません。昨年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を手がけた三谷幸喜さんも同じく「天才」とも「奇才」とも言われる脚本家であり、いまだ「鎌倉殿ロス」という声がある中、比較は避けられないからです。

 しかも古沢さんの『どうする家康』と三谷さんの『鎌倉殿の13人』には、類似点が6つもありました。

古沢・家康と三谷・義時の類似点

『どうする家康』の予告映像は、家臣たちの「殿!」「殿!」「殿!」「殿!」という呼びかけに合わせて、桶狭間の戦い、大高城兵糧入れ、鵜殿城攻略、三河一向一揆、姉川の合戦、三方ヶ原の戦い、長篠の戦い、信康自害、本能寺の変、伊賀越え、小牧長久手の戦い、関ヶ原の戦い、征夷大将軍、大坂夏の陣という文字が次々に浮かび上がり、最後に「どうする?」と問いかけるところからスタートします。

 当作の主な構成は、このように「家康が次々と迫るこれらの危機にどんな選択をしていくのか」。これまで家康と言えば「ずる賢い」「忍耐の人」「たぬき親父」というイメージでしたが、古沢さんは「ナイーブで頼りないプリンス」として描くことを明かしています。最初から大志を抱いていたわけではなく、「戦が嫌いなのに戦うことを余儀なくされ、強敵だらけの中で生き延びる術を模索していく」という出発点は、三谷さんが手がけた『鎌倉殿の13人』の主人公・北条義時(小栗旬)と似ています。

 注目すべきは、古沢さんの徳川家康も三谷さんの北条義時と同じように、歴史上の大人物というより、ダメなところのある人として描こうとしていること。「臆病かつ優柔不断で、ピンチの連続に迷い悩みながらも前に進んでいく」という人間味のある親しみやすい人物像であり、真面目な性格だからこそ時に笑いを誘われることになるようです。

 はたして家康は次々に訪れるピンチを切り抜けることで、義時のように少しずつたくましさを身につけていくのか。家のため、世のために、冷酷な一面を見せながら覚醒してくのかにも注目です。

 また、もう1つ特筆すべきは、“歴史的人物の一代記”という大河ドラマのベースを守りながらも、「誰が天下を取るか」という男のロマンではなく、家族や家臣の物語を重視したホームドラマのようなムードがあること。家康も義時も自分が天下を取ることより、家族や家臣を守ることを優先させているところが似ています。

史実に忠実ながら笑いもたっぷり

 さらに古沢さんと三谷さんの類似点は、登場人物の描き分けが巧く、それぞれ個性たっぷりで愛きょうがあること。たとえば『鎌倉殿の13人』の御家人たちがそうだったように、『どうする家康』の酒井忠次(大森南朋)、石川数正(松重豊)、本多忠勝(山田裕貴)、本多正信(松山ケンイチ)、鳥居忠吉(イッセー尾形)、大久保忠世(小手伸也)、服部半蔵(山田孝之)などの松平(徳川)家家臣たちも、一人ひとりがスピンオフを作れそうなほど生き生きとした姿で描かれることが予想されています。

関連記事

トピックス

石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
川崎春花
【トリプルボギー不倫の余波】日本女子プロ2022年覇者の川崎春花が予選落ち 不倫騒動後は調子が上向かず、今季はトップ10入り1試合のみ「マイナスばかりの関係だった」の評価も
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
「中野駅前大盆踊り大会」前夜祭でのイベント「ピンク盆踊り」がSNSを通じて拡散され問題に
《中野区長が「ピンク盆踊り」に抗議》「マジックミラー号」の前で記念撮影する…“過激”イベントの一部始終
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
『東宝シンデレラ』オーディション出身者の魅力を山田美保子さんが語ります
《第1回グランプリは沢口靖子》浜辺美波、上白石姉妹、長澤まさみ…輝き続ける『東宝シンデレラ』オーディション出身者たちは「強さも兼ね備えている」
女性セブン
9月6日から8日の3日間、新潟県に滞在された愛子さま(写真は9月11日、秋篠宮妃紀子さまにお祝いのあいさつをするため、秋篠宮邸のある赤坂御用地に入られる様子・時事通信フォト)
《ますます雅子さまに似て…》愛子さま「あえて眉山を作らずハの字に落ちる眉」「頬の高い位置にピンクのチーク」専門家が単独公務でのメイクを絶賛 気品漂う“大人の横顔”
NEWSポストセブン
川崎市に住む岡崎彩咲陽さん(当時20)の遺体が、元交際相手の白井秀征被告(28)の自宅から見つかってからおよそ4か月
「骨盤とか、遺骨がまだ全部見つかっていないの」岡崎彩咲陽さんの親族が語った “冷めることのない怒り”「(警察は)遺族の質問に一切答えなかった」【川崎ストーカー殺人】
NEWSポストセブン
シーズンオフをゆったりと過ごすはずの別荘は訴訟騒動となっている(時事通信フォト)
《真美子さんとの屋外プール時間も》大谷翔平のハワイ別荘騒動で…失われ続ける愛妻との「思い出の場所」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン
海外から違法サプリメントを持ち込んだ疑いにかけられている新浪剛史氏(時事通信フォト)
《新浪剛史氏は潔白を主張》 “違法サプリ”送った「知人女性」の素性「国民的女優も通うマッサージ店を経営」「水素水コラムを40回近く連載」 警察は捜査を継続中
NEWSポストセブン