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和田秀樹流「脳寿命を延ばす生活習慣」 基本は良質な睡眠・運動・食事、笑うことも大切

生活習慣は脳寿命に影響するという(イメージ)

生活習慣は脳寿命に影響するという(イメージ)

 国民病とも言える認知症。2025年には患者数が730万人、MCI(軽度認知障害)も含めると1000万人に達すると予測されている。新著『ぼけの壁』がベストセラーとなっている精神科医・和田秀樹氏が、高齢者の大敵である認知症や老人性うつを防ぐ方法を解説する。

肉を食べよう

 認知症と老人性うつを予防し、克服するには生活習慣の改善が肝要となる。脳寿命を延ばす生活習慣と考え方を解説していく。

 基本は、良質な「睡眠」「運動」「食事」だ。

「睡眠不足が最も脳に悪く、ぼけないためには1日6~7時間の睡眠が望ましい。それには1日30分程度の散歩などの有酸素運動が効果的です。また、高齢になるほど食べたいものを食べたほうがいい。低栄養を防いで脳や免疫機能の維持に効果があり、さらにうつの原因であるストレスを軽減できます。特に、肉を食べると老人性うつを予防する神経伝達物質のセロトニンが増加します」(和田氏、以下同)

 我慢しないことが大切だが、アルコールには気をつけたい。

「酒はやめなくてもいいが、ほどほどにしましょう。過度のアルコールはセロトニンを減らし、うつ症状を進行させます。晩酌は日本酒なら2合、瓶ビールなら2本程度にとどめましょう」

 年齢を理由にできることをやめてしまうこともよくない。

「運転をしなくなると脳と足腰が弱るので、高齢だからと安易に免許を返納する必要はありません。心配な人は『病院や買い物の時だけ運転する』『雨の日はNG』といったように、運転する場面を自分で限定すればいい」

 引きこもってしまうことは脳の健康維持の大敵だ。外に出て、人と交流することが脳に刺激を与える。

「人とのコミュニケーションは最高の脳トレとなり、誰かと言葉を交わすことで脳は活性化します。寒いからと家に引きこもると日光が浴びられず『冬季うつ』のリスクが増すので、今の時期こそ外に出たい。ゴルフやカラオケなどの趣味、あるいは恋愛なども『もう歳だから』などとギブアップしない。どんどん挑戦する気持ちを持ち続けることが脳を老化させない秘訣です」

 そして、脳の老化予防に最も大切なのは、「恐れすぎない」ことだという。

「たとえ認知症になっても、人生の終わりだと悲観しない。笑わない人は毎日笑う人に比べて、認知症のリスクが2.15倍高いという研究もあります。いくつになっても遊び、毎日笑って過ごすことがぼけを予防します」

 脳の老いのメカニズムを正しく理解することが、「ぼけの壁」を乗り越えるためには必須なのだ。

※週刊ポスト2023年1月27日号

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