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「毎晩寄らずには帰れない」と地元客らに慕われる神戸の老舗角打ち

「いつ来ても自分の家みたいで落ち着くねぇ」(40代)と馴染みの客らが寛ぐ『西脇商店』。

 地下鉄神戸高速線・大開駅から徒歩3分、JR兵庫駅に繋がる通りに建つ店で、長年角打ちを続けてきた。

 3代目店主の西脇良子さんは、「家庭的で心が温かい人よ」(60代女性、警備関係)と慕われている。

「この店は、昭和の景色の中にいるようで居心地がいいんだよ。往年の女優さんのポスターが貼ってあって、懐かしいなと思ってふらっと入ったのが5年前くらいかな。この雰囲気がすっかり気に入っちゃって、客もみんな昭和世代やから落ち着くよ」(60代、製造業)

心温かい店主(右奥)を慕い地元客が集う、昭和の風情が残る老舗だ

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「通い歴35年、毎晩寄らずには帰れない大切な憩いの場だね。昔は10人くらいの大人数でやってきて、店の奥のスペースを陣取ったもんだよ。店が混んでいたときは、できるだけ詰めて体を斜めにして並んで飲む、いわゆる“ダークダックス飲み”していたこともあったね。

 逆に最近はこのカウンターでも皆がちょっとずつ間を開けて、ソーシャルディスタンスってやつ。馴染みの面々は、不思議と並び順がいつも決まっていて、俺はだいたい隅っこ。ここが俺のVIP席だな」(60代、サービス業)

 黒みを帯びた渋い木目調のテーブルを台に、皆ホッとした表情で酒を傾ける。

「このテーブルはね、かつてお寿司屋さんのカウンターで使われていた立派な一枚板を再利用したものなのよ」と、店主は静かに店の歴史を語る。

「祖父の代からこの地で酒屋を始めて、長いこと角打ちをやってきました。私も父の代から店に立っているのですが、父が平成18年に亡くなってからは、母が店を継ぎ、ふたりで切り盛りしてきました。今年の3月に母も旅立ちまして、今は私ひとりで細々とやっていますよ。

 私の娘も小さかったころは酒屋にもしょっちゅう顔を出していて、お客さんに可愛がってもらいましたね。なんとか店を続けて来られたのは、長年通ってくださる地元のお客さんのおかげですね」(店主)

地元客らが1日の終わりに集い、疲れを癒やす

地元客らが1日の終わりに集い、疲れを癒やす

 次々とやってくる地元客たちに人気のアテは、熱々の湯豆腐だ。

「冬は薬味たっぷりの湯豆腐、夏は冷や奴がアテの定番。店先の棚に乾き物や缶詰もあるで。サラミや竹輪は食べやすいように、店主が綺麗に切って皿に盛って、楊枝を挿して出してくれる。その心遣いが嬉しいよね」(70代)

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