それなのに唐突に制限撤廃に転換したことに、西村康稔・経産相は国会で「高所得者に配るよりも、厳しい状況にある人を上乗せや別の形で支援すべきだ」と答弁し、担当の加藤勝信・厚労相も「所得制限を撤廃しろって話に議論が行き過ぎている」と閣内からも反対論が噴き出した。
「岸田さんの政策は確固たる思想・理念に基づいたものではなく、すべてがその場しのぎか思いつき。深く考えないまま、これまで自民党内で積み上げてきた方針を簡単にひっくり返してしまう」(同前)
予算の大盤振る舞いも大好きだ。防衛費を倍増、子育て予算の倍増、ODA(政府開発援助)も倍増を言い出し、財源に困ると「国民に一定の負担をお願いせざるを得ない」と増税を押しつける。喜ぶのは、防衛、厚労、外務など予算が増える役所の官僚たちと、増税できる財務官僚だ。
まさに官僚の言いなりで中身のない「暗愚の宰相」である。
※週刊ポスト2023年2月24日号