ライフ

保護犬・猫の世話をするボランティアの難しさ「優しいだけでは心が折れることも」

おーあみ避難所のシェルターの様子。ご飯を食べさせたり、ブラッシングをしたり、掃除をしたりとなかなかの重労働が多い(写真提供/おーあみ避難所)

おーあみ避難所のシェルターの様子。ご飯を食べさせたり、ブラッシングをしたり、掃除をしたりとなかなかの重労働が多い(写真提供/おーあみ避難所)

 環境省の調べによると、1989年度までは、年間100万頭以上の犬や猫が殺処分されていた。しかし、保護団体の活動が浸透して動物の命に対する国民の意識も徐々に変わり、行政も2013年頃から「殺処分ゼロ」を掲げるようになった。そのため、2020年には2万3764頭まで殺処分数が激減した。

 犬や猫の殺処分数が減ったのは、1匹でも多く救いたいと奮闘する全国各地の保護団体の尽力が大きい。そんな保護団体で、実際に保護した犬や猫の世話をするのは、主にボランティアだ。譲渡会を運営する神奈川県の保護団体「おーあみ避難所」の代表・大網直子さんは言う。

「うちの場合、約100人のボランティアが登録していて、入れ代わりでシェルターに来てもらったり、在宅で協力してもらったりしています」

 大網さんも自宅をシェルターとし、犬猫合わせて約80匹を保護している。ほかにも登録ボランティアに自宅で預かってもらっているという。

「ボランティアには、殺処分をゼロにしたいという熱意を持った人はもちろん、年齢制限や住宅事情で保護犬や保護猫を飼えない人もいます。飼えなくても活動を通じて犬や猫と触れ合えますから」

 おーあみ避難所に、ほぼ毎日顔を出しているというボランティアの清須陽子さん(67才)はボランティア活動についてこう語る。

「私はシェルターボランティア、預かりボランティア、ミルクボランティア、運搬ボランティアをやっています。いろいろな猫と触れ合えるのが楽しいですね」(清須さん)

 ボランティアにはさまざまな仕事があり、清須さんのように兼任している人は多い。仕事が忙しくてシェルターに通えなくても、自宅でできることや、週末に運転をするだけなど、仕事はたくさんある。自分のライフスタイルに合わせて、できることをやればいいのだ。

「おーあみ避難所の場合、シェルターボランティアは朝番が9〜14時頃まで8〜10人にお願いしています。夜番は16〜20時頃までで3〜4人。犬の散歩は3人程度で行っています。作業は食事や投薬、トイレ掃除、体調のチェックなどですね」(大網さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト