国際情報

英国の42大学が中国機関と学術提携の接点 軍事情報流出に英政府が危機感

英国の42大学が中国機関と学術提携などを結んでいることに英国政府が深刻な懸念を表明

英国の42大学が一部中国機関と学術提携などを結んでいることに英国政府が深刻な懸念を表明

 英国の42大学が中国新疆ウイグル自治区の少数民族への弾圧に関わる公安組織や中国人民解放軍、スパイ活動を行う公安省や国家安全省などとつながる中国の機関と学術提携などを結んでいることが分かり、英国政府が深刻な懸念を表明していることが明らかになった。

 英国議会下院外交委員会のアリシア・カーンズ委員長は「わが国の大学と中国との軍事機関などとの親密な関係は”極めて厄介だ。中国との関係を見直すべきだ」と指摘している。英紙「タイムズ」が報じた。

 タイムズ紙が最近実施した調査によると、英国の名門ケンブリッジ大学やロンドン大学クイーン・メアリー校、シェフィールド大学、リーズ大学など、英国を代表する21大学が「非常に危険度の高い」中国の軍事機関などと提携しているという。

 さらに、同紙は「これらの大学は中国の軍事兵器開発を助けるために、自らの研究成果を中国側に流出しており、英国政府が警告している」としている。

 例えば、ケンブリッジ大学は中国の理数系大学のトップである清華大学と提携しており、ケンブリッジ大学の外国語を翻訳する音声認識ソフトウェア開発の論文が、中国のウイグル人収容所における翻訳ソフト開発に利用されていることが分かっている。

 また、中国人民解放軍直属のハルビン工科大学海軍工学部は、そのホームページで同大学部を「中国の造船業、海軍装備、海洋開発のための重要な科学研究および人材育成の拠点」と説明し、海軍の兵器開発に関与していることを明らかにしている。英国の理工系4大学がハルビン工科大と提携関係を結んでいるという。

 英国の国防アナリスト、ロバート・クラーク氏は昨年10月、中国人民解放軍とつながりのあるリスクの高い機関から、少なくとも60人の中国人研究者が現在、英国の大学に就職していると警告。このうち、2人は現役の中国軍幹部で、1人は空軍技術大学、もう1人は中国人民解放軍戦略支援部隊に所属しているという。

 企業だけでなく大学との提携といったソフトな形での中国の浸透は収まりそうもない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の打ち上げに参加したベッキー
《ザックリ背面ジッパーつきドレス着用》ベッキー、大河ドラマの打ち上げに際立つ服装で参加して関係者と話し込む「充実した日々」
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン