スポーツ

卓越した打撃理論を持つ門田博光さんはなぜ指導者になれなかったのか? 幻に終わった“2度のオファー”

44歳まで現役を続けた門田博光さんは、なぜプロ野球の指導者にならなかったのか(時事通信フォト)

44歳まで現役を続けた門田博光さんは、なぜプロ野球の指導者にならなかったのか(時事通信フォト)

 南海、オリックス、ダイエーで活躍した門田博光さん(享年74)の訃報から3週間が経つ。王貞治、野村克也に次ぐ歴代3位の通算567本塁打、1678打点を記録した稀代の名選手でありながら、門田さんはなぜ監督やコーチになれなかったのか。(文中敬称略)

「門田さんは球界の常識を打ち破った選手でした。身長170センチと小柄ながらホームラン打者を目指し、『ヒットの延長がホームラン』ではなく『ホームランの打ち損ないがヒット』という考え方で、『全打席ホームランを狙っている』と堂々と公言した。当時は否定的な見方をされていた筋力トレーニングをシーズン中も続けていた。40年前に現代の方法論を取り入れていた。だから40歳で2冠王を獲って、44歳まで現役を続けられたのだと思います。

 門田さんは頑固で堅物なイメージがありますが、野球界の常識を疑い、最先端の理論を進んで実行していた。ですから、指導者になったら成功していたのではないか。周りになんと言われようと自分の考えを貫く姿勢は、監督に必要とされる資質の1つです。野村克也さんが『固定観念は悪』とよく言っていましたが、門田さんはまさにその言葉を実行していた」(スポーツライター。以下同)

 門田は1969年秋のドラフト2位で社会人のクラレ岡山から南海ホークスに入団。ちょうど野村克也が選手兼任監督に就任した時だった。

「ドン・ブレイザーをヘッドコーチに迎えた野村兼任監督は『シンキング・ベースボール』を掲げ、選手に頭を使うことを徹底させた。野村さんの教え子と言うと、2連覇を果たしたヤクルトの高津臣吾監督や楽天の石井一久監督など1990年代のスワローズの選手たちにスポットが当たりますが、南海時代の“野村チルドレン”も指導者として球界を席巻しました。

 広島を1975年に初優勝させ、11年で4回ペナントを制覇した古葉竹識監督は南海・野村兼任監督の元で選手2年、コーチ2年を経験しています。他にも星野仙一監督の元で長年コーチを務めた島野育夫、打撃コーチとして延べ7球団を渡り歩いた高畠導宏、他にも選手に慕われた佐藤道郎、新庄剛志を育てた柏原純一など、数々の名コーチがいます」

関連キーワード

関連記事

トピックス

マムカ司令官
【ウクライナの戦場取材でYOASOBI】報道カメラマンがウクライナで戦うジョージア部隊「世界初の最前線取材」の許可を得るまで ドーベルマンとフィアット500に乗り、車内で『夜に駆ける』
NEWSポストセブン
1990年代、多くの人気バラエティ番組で活躍していたタレント・大東めぐみさん
《交通事故で骨折と顔の左側の歯が挫滅》重傷負ったタレントの大東めぐみ「レギュラーやCM失い仕事ほぼゼロに」後遺症で15年間運転できず
NEWSポストセブン
ポータブルトイレの大切さを発信するYoutuber・わさびちゃん
「そもそもトイレの話がタブー過ぎる」Youtuberわさびちゃんが「トイレ動画」を公開しまくるようになったきっかけ「芸人で恥ずかしいこともないし、夫に提案」
NEWSポストセブン
1990年代、多くの人気バラエティ番組で活躍していたタレント・大東めぐみさん
《事務所が猛反対もプロ野球選手と電撃結婚》元バラドルの大東めぐみ、人気絶頂で東京から大阪へ移住した理由「『最近はテレビに出ないね』とよく言われるのですが…全然平気」
NEWSポストセブン
全国で車中泊をしているわさびちゃん夫婦。夫は元お笑い芸人のピーチキス・けん。
YouTuber・わさびちゃんが「トイレ動画」でバズるまでの紆余曲折「芸人時代に“女”を求められたり、男性芸人から嫉妬されたり…」
NEWSポストセブン
悠仁さまに関心を寄せるのは日本人だけではない(時事通信フォト)
〈悠仁親王の直接の先輩が質問に何でも答えます!〉中国SNSに現れた“筑波大の先輩”名乗る中国人留学生が「投稿全削除」のワケ《中国で炎上》
週刊ポスト
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《借金で10年間消息不明の息子も》ビッグダディが明かす“4男5女と三つ子”の子供たちの現在「メイドカフェ店員」「コンビニ店長」「3児の母」番組終了から12年
NEWSポストセブン
リシェット
戦場取材に欠かせない「フィクサー」とは? ウクライナ入りした報道カメラマンが紹介された“取材に愛犬を連れて来る男” ギャラは「1日1500ドル」と法外な金額に
NEWSポストセブン
女児盗撮の疑いで逮捕の小瀬村史也容疑者(37)。新たに”わいせつ行為”の余罪が明らかになった
「よくタブレットで子どもを撮っていた」不同意わいせつ行為で再逮捕の小瀬村史也容疑者が“盗撮し放題だったワケ” 保護者は「『(被害者は)わからない』の一点張りで…」
NEWSポストセブン
成年式を控える悠仁さまと第1子を出産したばかりの眞子さん(写真・右/JMPA)
眞子さん、悠仁さまの成年式を欠席か いまなお秋篠宮家との断絶は根深く、連絡を取るのは佳子さまのみ “晴れの日に水を差す事態”への懸念も
女性セブン
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《多産DVを語ったビッグダディ》「子どもができたら勝手に堕ろすんじゃないぞ」4男6女の父として子供たちに厳しく言い聞かせた理由
NEWSポストセブン
ボニー・ブルーとの2ショット(インスタグラムより)
《タダで行為できます》金髪インフルエンサー(26)と関係を持った18歳青年「僕は楽しんだから、被害者になったわけじゃない」 “捕食者”との批判殺到に反論
NEWSポストセブン