国内

「全部いいと思います」下関で安倍昭恵さんが語った『安倍晋三回顧録』の「感想」

ジャーナリスト・相澤冬樹氏(左)が昭恵さんから『安倍晋三回顧録』の感想を聞いた

ジャーナリスト・相澤冬樹氏(左)と昭恵さん

 2月8日に発売されるやいなや、国内外で反響を呼んでいる『安倍晋三回顧録』(中央公論新社)。各所から様々な反響が寄せられているが、安倍氏に最も近い存在だった妻・昭恵さんはどんな思いなのか。元NHK記者で森友学園問題を追及し続けてきたジャーナリスト・相澤冬樹氏が安倍氏の地元・山口県下関市で昭恵さんから聞いた「感想」をレポートする。【前後編の前編】

 * * *
 雨にけぶる夕暮れの港町、本州西端の山口県下関市。亡き安倍晋三元首相の選挙区だったこの街を私は訪れた。目的は「不屈の政治家 安倍晋三写真展~産経新聞カメラマンがとらえた勇姿~」だ。

 2月12日、日曜日が最終日。週明けに隣県の福岡で用事ができたため、安倍氏のお膝元での様子を見ようと立ち寄ってみたのだ。JR下関駅に近い商業施設の4階。会場に着くやいなや、驚くべき事態に遭遇した。入口で安倍元首相のパネルの前に立ち、にこやかに来場者を迎えているのは、妻・昭恵さん、その人ではないか。

 彼女が前日、会場を訪れたことは産経の記事が伝えていた。だからもう来ないだろうと思っていたので意表を突かれた。思わず会場の係員に尋ねると、「私たちも驚きました。まったく聞いていなかったんですよ」という。

 つまり昭恵さんのサプライズ来場に偶然巡り合ったことになる。その傍らには安倍氏の後継として山口4区の補欠選挙に出る予定の元下関市議がいる。昭恵さんは人々と言葉を交わし記念写真に収まりながら、後継者を紹介していた。

「すべてが主人の生の声」

 そんな空気の中、私は明らかに“浮いた”存在だった。安倍政権を悩ませた森友事件を追及し、その過程で昭恵さんに直撃取材をしたこともある。だが、昭恵さんも会場の人たちも私に気づいた様子はない。そこでせっかくの機会に一来場者として一言話しかけることにした。気になっていたことがあるのだ。

 それは、発売されたばかりの安倍元首相の「回顧録」のこと。昭恵さんはどう受け止めているのか、こんな具合に尋ねた。

──この回顧録、どの辺がオススメというかいいところなんでしょうか?
「全部いいと思います。もうほんとにすべてが主人の生の声ですので、このなかで主人が正しいですという形で書いてもらってますので」

 亡き夫に寄せる昭恵さんの思いが伝わってくる。短いながら話が聞けたところで、会場のスタッフが親切にも写真を撮ってくれた。パネルの安倍元首相と昭恵さん、そして私のスリーショットになった。スリーショットといえば思い出すことがある。

 昭恵さんが森友学園の籠池理事長(当時)夫妻とおそろいで撮った写真。学園が取得を目指していた国有地の前での一枚だ。この『安倍晋三回顧録』を読み解いていくと、森友問題を再び考える契機となる重要な新証言がいくつもあるではないか──。

後編に続く

■取材・文/相澤冬樹(ジャーナリスト)

関連キーワード

関連記事

トピックス

趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏は2017年にダブル不倫が報じられた(時事通信フォト)
参院選落選・山尾志桜里氏が明かした“国民民主党への本音”と“国政復帰への強い意欲”「組織としての統治不全は相当深刻だが…」「1人で判断せず、決断していきたい」
NEWSポストセブン
現地取材でわかった容疑者の素顔とは──(勤務先ホームページ/共同通信)
【伊万里市強盗殺人事件】同僚が証言するダム・ズイ・カン容疑者の素顔「無口でかなり大人しく、勤務態度はマジメ」「勤務外では釣りや家庭菜園の活動も」
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《巨人V9の真実》400勝投手・金田正一氏が語っていた「長嶋茂雄のすごいところ」 国鉄から移籍当初は「体の硬さ」に驚くも、トレーニングもケアも「やり始めたら半端じゃない」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《追突事故から4ヶ月》広末涼子(45)撮影中だった「復帰主演映画」の共演者が困惑「降板か代役か、今も結論が出ていない…」
NEWSポストセブン
江夏豊氏(右)と工藤公康氏のサウスポー師弟対談(撮影/藤岡雅樹)
《サウスポー師弟対談》江夏豊氏×工藤公康氏「坊やと初めて会ったのはいつやった?」「『坊や』と呼ぶのは江夏さんだけですよ」…現役時代のキャンプでは工藤氏が“起床係”を担当
週刊ポスト
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン
佳子さまも被害にあった「ディープフェイク」問題(時事通信フォト)
《佳子さまも標的にされる“ディープフェイク動画”》各国では対策が強化されるなか、日本国内では直接取り締まる法律がない現状 宮内庁に問う「どう対応するのか」
週刊ポスト