関西電力と陸上洋食のパイオニアIMTエンジニアリングが協力
●海幸ゆきのや バナメイエビ「幸(ゆき)えび」
スイミングプールのような長さ40メートル×幅12メートルの水槽が6基並び、人工波の音が響く。海幸ゆきのや合同会社(静岡県磐田市)が同市に昨夏完成させた国内最大級のバナメイエビ陸上養殖場では、「幸えび」のブランド名を持つエビの出荷作業が行なわれていた。
同社は関西電力が2020年、IMTエンジニアリング(東京都港区)と設立した新会社。関西電力が食事業に参入すること自体が初だが、なぜエビの陸上養殖なのか。
「関西電力は大阪湾の環境浄化を推進しており、ヘドロ浄化に有効な光合成細菌がエビの成長を促進させると研究者が発見したのです。食はインフラであり、海を休めて供給を安定させる次世代型陸上養殖に乗り出しました。自然由来の原料を中心とした安心安全な餌でエビを育てています」(幸えび事業担当の山崎美緒氏)
濾過した水が循環する「閉鎖循環式」の水槽の底では掃除ロボットが働き、発電所の管理制御で培ってきたデジタル技術、AI技術も養殖に活用されている。昨年11月に初出荷し、年間出荷量80トンを予定する。