国際情報

「中華人民共和国予備役法」が施行へ 台湾侵攻を見据えた実質的な徴兵制との指摘も

台湾侵攻を見据えたものなのか

台湾侵攻を見据えた新法なのか

 中国では3月1日、「中華人民共和国予備役法」が施行される。これは1996年施行の「予備役軍官法」に代わるもので、ネット上では「実質的な徴兵令であり、今後の台湾侵攻作戦のための準備だ」との声が出ている。米政府系報道機関「ボイス・オフ・アメリカ(VOA)」が報じた。

 新法を旧法と比べると、総則に「習近平の軍事強化思想を実行する」、「国家安全保障の全体的概念を堅持する」、「予備役は命令を守り、規律を厳格に守り、勇敢で粘り強く、犠牲を恐れてはならない」などの思想的文言が加えられているほか、「予備役は命令を守り、規律を厳格に守り、勇敢で粘り強くあらねばならない」と強調している。

 また、「戦時には現役部隊の重要な補充源」であり、「祖国を守るために戦い、召集される用意がなければならない」とも付け加えられている。

 旧法は採用の詳細が比較的単純であったが、新法ではその説明に1章を割いており、「国が動員令を出し、または国務院(政府)もしくは中央軍事委員会が法律に基づいて国防動員のための必要措置をとった後、部隊は上官の命令に従い、採用される予備役に対して速やかに採用通知を行うものとする」、「予備役は召集通知を受けた後、要件に従い、指定された時刻に指定された場所に出頭しなければならない」と戦時体制下の徴兵ともみられる規定が加えられた。

 さらに、予備役の年齢の上限について「予備役の指揮管理官と専門技術官の定年は60歳」とこれまでの予備役の定年の30歳を大幅に上回っている。これらを受けて、ネット上では「いよいよ習近平国家主席は軍事的な手段による台湾統一作戦を視野に入れているようだ。そうでなければ、旧法のままでよいはずだ」、「ロシアのことはもはや他人ごとではなくなった。我々も早く中国から逃げ出さないと戦争の犠牲になってしまう」との声も出ている。

 ロシアでは昨年8月、プーチン大統領がロシア軍の人員を13万7000人増員する大統領令に署名したあと、多くの対象者が国外に脱出しているが、今回の新法は、そうしたことを見据えた上での措置でもありそうだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン