月曜ゴールデンタイムに『帰れマンデー見っけ隊!!』(テレビ朝日系)という旅番組がありますが、メインを務めるのは、サンドウィッチマンの伊達みきおさん(48歳)と富澤たけしさん(48歳)、タカアンドトシのタカさん(46歳)とトシさん(46歳)の4人。いずれも番組の影響もあって、実年齢より上の年齢層からも愛される一因となっています。
また、ハライチ・澤部佑さん(36歳)は、日曜昼の旅番組『なりゆき街道旅』(フジテレビ系)のメインを務めることで幅広い世代からの好感度を上げ、1月にスタートした昼の帯番組『ぽかぽか』(フジテレビ系)のMCにつなげました。
ロケこそ芸人の実力を発揮できる場
もう1つ見逃せないのは、特にバラエティの作り手と芸人たちの中に、「ロケを高いレベルでこなせるのが一流のタレント」「ロケで笑いを生み出せなければ芸人としては厳しい」という考え方があること。基本的にロケは、風景、食、文化、店員や住民などネタの宝庫であり、スタジオ収録よりトークが弾みやすく、自分のキャラクターを出しやすいなど、タレントにとってはいくつかのメリットが得られるものです。
逆に突発的な出来事が起きたときの対応などに芸人としての実力が試されるため、ロケ巧者たちにとっては力を見せつける絶好機。たとえば千鳥の2人は、個性的な店員や住民が現れたときほど、自ら楽しんでいる姿を見せながら、「どのように絡んで笑いにつなげていくのか」を考えている様子がうかがえます。
売れっ子になるほど、多忙から「ロケは面倒」「できれば行きたくない」という人がいる一方で、「ロケそのものが好き」というタレントも少なくありません。特にコロナ禍に突入してからロケの仕事が減ったこともあって、「マネージャーに『ロケは前向きに入れて』と言っている」という声を何度も聞きました。
コロナ禍の話で言えば、「旅番組やロケ映像の需要が上がっている」のも事実。昨年までは「いつかは行きたい」という目線が主流でしたが、最近は「ここに行きたい」という目線でのロケ企画が増えているようです。たとえば朝の帯番組『ラヴィット!』(TBS系)でも若手芸人やアイドルたちがほぼ毎日ロケを行っていることからもそれがわかるでしょう。
最後にもう1つ上げておきたいのは、旅番組での活躍がローカル局での出演につながりやすいこと。ローカル局の制作番組はロケ企画が中心だけに、「全国ネットの旅番組でロケ巧者であることをアピールしておけば、地方での仕事につながる」と見られているのです。
タレントは元気な姿を見せてこそ仕事がもらえる職業であり、健康的なイメージがつくことも含めて、今後も「現役バリバリのトップタレントたちが旅番組に出る」という流れは続いていくのではないでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。