実家を出てからはほとんど友達ができなかったと小川さんは言うが、彼女の周りにはいつも笑いが絶えない。
「ふっきれた部分があるのかもしれません。顔を出して活動することで、多くの誹謗中傷を受けた。そこで自分自身に徹底的に向き合えたのが大きかった」
音楽を通じて知り合った夫も、小川さんの活動を全力でサポートしてくれている。
「ずっとつらくて遺書を書いたこともあった。でも、今が一番自由になれている気がします」
小川さんが望むのは、宗教2世の子どもたちが苦しむことのない法律と環境を整えることだ。
「この国はずっと宗教の問題を放置し続けてきました。『あなたたちの親が運悪くカルトの毒親だったのは自己責任です』とは、子どもたちに絶対に言いたくない。この国に生まれたことを子どもたちに後悔させないようにしたい」
小川さんの戦いはまだ始まったばかりだ。
撮影/木村圭司
※週刊ポスト2023年3月24日号