湿布の使用も日本ならでは?(写真/PIXTA)
「『ロキソプロフェン』や『アスピリン』といった『NSAIDs』を主成分とする解熱鎮痛剤は日本では市販薬としてもよく使われますが、副作用として胃を荒らしたりぜんそくの原因になったりする可能性がある。アメリカではそれが危険視されているのです」
処方薬の中にも注意すべきものがある。
「日本で頭痛や腰痛などの慢性的な痛みを訴える患者に処方される『ジアゼパム』には筋肉を弛緩させて痛みを取る効果がありますが、本来は不眠や不安症を治療するための向精神薬です。依存性や乱用のリスクがあり、多くの国では痛みを緩和する目的での処方は推奨されていません」(室井さん)
大西さんは腰痛で処方されることの多い「プレガバリン」への安易な処方にも警鐘を鳴らす。
「プレガバリンは基本的に神経痛や線維筋痛症、てんかんの治療に使用される薬ですが、2018年にアメリカ医師会雑誌で、国内での過剰処方が指摘されました。過剰摂取によって、めまいや不安、うつ病を引き起こす可能性があるためです。そのうえ、肝心の鎮痛効果も疑わしい。2017年のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンの報告によると、座骨神経痛への鎮痛効果はないと報告されています」
痛みを取るために湿布を好んで使うのも、世界には類がない。
「湿布が効くというエビデンスはないため、欧米ではほとんど使われていません。しかし日本では整形外科を中心によく処方されている。患部が冷たくなるので、“効いた気がする”薬の代表格です」(岡田さん)
※女性セブン2023年3月23日号