「今運営しているYouTubeチャンネルでも、さまざまなアーティストの方々の楽曲を歌う『歌ってみた』を投稿していたのですが、『アーティストとしてのプライドはないのか』という言葉をいただいたことがあります」
確かに、自分というものをしっかり持ち、ブレずに、自分の生き方を、ミュージシャンだったら自分の音楽をまっとうしていくのを美徳とする価値観も存在する。これに対して宇野はこう言い放つ。
「私は私を邪魔するプライドならいらない!」──果たしてどういうことなのか。
その時代のニーズに馴染む
宇野は2018年2月14日、1stシングル「どうして恋してこんな」でソロデビュー
そもそもコロナ禍でファンとのつながりが薄れていく中、宇野のYouTubeチャンネルは自分が発信できる場所として、そこに光を見出しながら運営していた。コロナ禍でライブなどが無観客になっていく中、発信したい、届けたい。コロナ禍という時代でも生き残りたい。そんな想いが込められていた。さらにこう続ける。
「昨今はサブスクなどの発展、多くのエンタメがある中で時間をどう有効に使うかという発想で、イントロが長いとその時点でその曲を聞くのをやめる傾向も感じてます。だから私の音楽も変化していきたい。音楽はいつでも自由に形を変えていいもの。その音楽を聞くとその時代背景が見えたりして、それも面白さだと思います。だからいつだって私の音楽を時代を感じながらアップデートしていきたい。
もちろん自身の音楽を古びることなくやってらっしゃる素晴らしいアーティストの方々もいらっしゃいますが、私というミュージシャンはそうではない。先を走れないなら、流れについていくしかない」
もともと、置かれた環境に馴染むのは得意だった。いつでも形を変えられるよう柔軟に物事を捉える。しかも染められるのではなく、それを自分色に染めていく。彼女の『歌ってみた』はまさしくそうで、聞けば、どのアーティストの曲も宇野を染めつつ宇野に染められ、しかしその中に彼女の持つオリジナリティは確実に光を放っている。