自身も録音機能が付いた電話機を実家に贈って対策を続けてきた城島

自身も録音機能が付いた電話機を実家に贈って対策を続けてきた城島

「おとり捜査」が必要

「本気で詐欺被害を無くすには、現場を知ることから」を信条に、杉は2019年11月の青森県警察本部から今年2月の沖縄県警察本部まで47都道府県の県警本部訪問を完了。コロナ禍もあり思うように動けず3年3か月かかった。そうした一連の功績から杉の階級が3つ星から昇任し、警視総監と同じ階級章の4つ星がこの日の席上で授与された。

 新しい礼服に袖を通し、特別防犯対策監として決意を新たに、杉が総括挨拶に臨んだ。以下は、その全文である。

 * * *

 平成30年9月から、防犯対策活動を続けてまいりました。活動を始めて4年以上が経過する中で、特殊詐欺を始めとするほとんどの犯罪が、インターネットなどの通信網を介して行われるなど犯罪傾向が変化し、従来の犯罪対策や捜査手法では、その未然防止や摘発に支障が生じていることを目の当たりにしてきました。

 インターネット上には、特殊詐欺の「受け子」を募集する情報など、犯罪を誘引するような情報で溢れかえっています。事業者は速やかに削除してもらいたい。また、特殊詐欺の電話は、捜査当局の捜査を回避するため、海外を経由して掛かって来ます。利用者が登録したものを除き、通信事業者において着信を遮断してもらいたい。

 また、特殊詐欺のような組織犯罪では携帯電話が悪用されますが、捜査当局による職務質問や押収時において、携帯電話のロックの解除に所有者が応じなければ内容を確認することができず、結果的に犯罪者を利することになります。捜査当局に対して、こうした携帯電話の中身を確認することができるよう手段を与えていただきたい。

 加えて、特殊詐欺に関与して検挙された犯罪者に対する罰則が軽すぎるため、特殊詐欺に関与することが「割に合わない」と感じさせるに至っておりません。特殊詐欺は従来の詐欺をはるかに超え、殺人をも簡単に犯す犯罪集団であります。関係機関においては、是非、今の 社会全体の声に耳を傾け、特殊詐欺に関与した犯罪者に対し、今以上に重い罰則を科していただきたい。

 また、特殊詐欺の「受け子」として検挙された犯罪者から聴取したところ、「警察がおとり捜査をしない限り、上位の犯罪者を検挙することは無理だ」という声もあります。もうすでに時代は変わっているのです。捜査当局に対して、特殊詐欺に限ってでも、捜査する側が応募して犯人の逮捕につなげるような「おとり捜査」も認めていただく必要があると思います。

 特殊詐欺は、被害者が家族にも言えない、「自分がバカだった」など警察に被害届を出すのをためらう犯罪であります。被害者が泣き寝入りする犯罪という特殊性があり、よって犯罪件数、被害額は計りしれないほど深刻であります。特殊詐欺の被害に苦しむ人をなくし、事件事故の起きない社会を作るためには、現場の警察が力を発揮できるようにする必要があります。

 特別防犯対策監としてお願いしたいことを述べました。全国警察官の思いも乗せ、日々頑張って参ります。通信事業に関わる企業の皆様、国民の皆様、御理解と御協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 * * *

関連記事

トピックス

司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
横山剣氏(左)と作曲家・村井邦彦氏のスペシャル対談
《スペシャル対談・横山剣×村井邦彦》「荒井由実との出会い」「名盤『ひこうき雲』で起きた奇跡的な偶然」…現代日本音楽史のVIPが明かす至極のエピソード
週刊ポスト
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン