スポーツ

レギュラー剥奪危機の坂本勇人 絶好調の中田翔と明暗を分けた「打撃フォーム改造」

一向に調子が上がらない坂本(時事通信フォト)

一向に調子が上がらない坂本(時事通信フォト)

 1年前はこのように明暗が分かれるとは、誰も想像できなかっただろう。巨人の中軸で打撃絶好調の中田翔と、「レギュラー剥奪危機」を迎えている坂本勇人だ。

 中田は3月31日の開幕・中日戦で2安打3打点、翌4月1日も2試合連続アーチを含むマルチ安打で2打点とチームの全得点を叩き出すなど、開幕3連戦で9打数4安打、打率.444、2本塁打、5打点と申し分ない働きぶりだ。SNS上では読売巨人軍ならぬ「中田個人軍」というワードがトレンドに入ったほど。他球団のスコアラーは警戒を口にする。

「昨年のシーズン途中から打撃フォームがガラッと変わって、確実性が格段に良くなった。今までは煽るような打ち方だったのが、バット内側から出す縦振りにしたことでボールを点でなく、線で捉えられるようになった。今の中田は岡本和真より怖い打者ですよ」

 日本ハムでチームメートへの暴力問題により、無期限の出場停止処分を受けたのが2021年8月。2週間も経たずに、無償トレードで巨人への移籍が報じられた時は大きな波紋を呼んだ。V奪回を狙う救世主と期待されたが、結果は散々だった。同シーズンは34試合出場で打率.154、3本塁打、7打点。昨年も2度目のファーム降格となった6月上旬時点で打率.215、5本塁打、20打点。来季の戦力構想に入るか危機的な状況がささやかれる中、ファームで調整中、長嶋茂雄終身名誉監督にマンツーマン指導を受けたことが、大きな転機となる。バットを短く持ちスイング軌道を修正。プライドをかなぐり捨てた打撃フォームを敢行すると、状況が好転する。1軍に再昇格すると、打率がグングン上昇。8月から打撃不振の岡本と入れ替わる形で4番に座り、シーズン閉幕まで全うした。守備でも一塁で移籍後初のゴールデングラブ賞を受賞した。

 一方、巨人の不動の遊撃手として活躍してきた坂本は試練に直面した。昨年は度重なる故障で83試合出場にとどまり、打率.286、5本塁打、33打点。2008年以来続いていたシーズン連続規定打席到達が14年連続で途切れた。ただ、攻守での総合力はまだまだ球界屈指で、WBCを戦う侍ジャパンのメンバーとして打診が来たものの、シーズンに向けてのコンディション作りを優先するために、出場辞退。心身共に万全な状態で開幕を迎えるはずだったが、打撃フォームが安定しなくなってしまう。

 巨人を取材するスポーツ紙記者は、こう振り返る。

「今年から就任した大久保博元打撃チーフコーチの指導方針で、スイングスピードを上げて飛距離を伸ばそうと打撃のスタンスを変えた結果、体を煽るような打ち方になりコンタクト率が大幅に落ちた。結果が出ない焦りもあるでしょう。上体が開くのが早く、甘い球もヒットゾーンに飛ばせない。打撃不振は思ったより深刻です。完全に復調するまで時間がかかるかもしれない」

関連キーワード

関連記事

トピックス

石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情
(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
熱を帯びる「愛子天皇待望論」、オンライン署名は24才のお誕生日を節目に急増 過去に「愛子天皇は否定していない」と発言している高市早苗首相はどう動くのか 
女性セブン
「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)
《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野
週刊ポスト
盟友・市川猿之助(左)へ三谷幸喜氏からのエールか(時事通信フォト)
三谷幸喜氏から盟友・市川猿之助へのエールか 新作「三谷かぶき」の最後に猿之助が好きな曲『POP STAR』で出演者が踊った意味を深読みする
週刊ポスト
ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
今年6月に行われたソウル中心部でのデモの様子(共同通信社)
《韓国・過激なプラカードで反中》「習近平アウト」「中国共産党を拒否せよ!」20〜30代の「愛国青年」が集結する“China Out!デモ”の実態
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
NEWSポストセブン