スポーツ

【江本×中畑×達川・球界OB座談会】阪神・岡田監督のボヤキに「今の子がついていけてない」

(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏が緊急座談会

(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏が緊急座談会

 WBCの勢いそのままにプロ野球も開幕から例年以上の盛り上がりを見せている。大激戦のペナントの行方を占うべく大物球界OBを緊急招集。野球評論家の江本孟紀氏、中畑清氏、達川光男氏の3人が見どころを大いに語った。【全4回の第1回】

 * * *
江本:いやーWBCもオモロかったけど、シーズンも観ていて楽しいね。やはり阪神の岡田(彰布)監督(65)がいい味を出している。勝っても負けても動じてない。それに選手をよく見ていますよ。

中畑:オレは開幕前から阪神の優勝を予想してたけど、岡田にはチーム作りに明確なビジョンがあるよな。中野(拓夢、26)のセカンドコンバートもそう。選手にとっては死活問題になるから、失敗すればかなりの非難を浴びることになるけど、それを断行した。

達川:でも、監督就任時からサードで固定すると言っていた佐藤(輝明、24)は、一時スタメンから外しましたね。

江本:岡田はオフから佐藤はダメだと言っていたもん。我々には細かいことは言わないが、岡田は“バッティングが悪い”と断言していたからね。いい決断ですよ。それに4月12日の巨人戦で7回まで完全試合をしていた村上(頌樹、24)を降板させたのも、大正解だと思う。まだ勝ち星もない、チームに貢献もしたことがないピッチャーに完全試合をやらせることはないよ。

中畑:オレは1本打たれるまで投げさせたらよかったと思うけどね。同じような期待感を持ってスタンドで見ているお客さんに対して失礼だと考えちゃうタイプだからさ。

達川:中畑さんが言うことも真っ当だし、江本さんの意見も理にかなっていると思います。結局は監督がやりたい野球をすればいいんですよ。それに岡田はああ見えてこっそり反省するところがある。あとで村上に自腹で監督賞をドカンとやったらしいですよ。“小遣いや”“ヒーローはお前や”言うてね。岡田、オレにもくれ(笑)。

江本:岡田を擁護しているのはオレなんだから、オレにくれよ。

中畑:なんだかセコい話になってしまった(苦笑)。

達川:とはいえ、阪神にも不安要素はありますね。打線の状態が上がってこないし、青柳(晃洋、29)の調子がものすごく悪い。あと、ノムさん(野村克也氏)のような岡田のボヤキに今の子がついていけてない。“あんなボール投げたらアカンで。打たれてるがな”とポロッと言う。岡田には何の後腐れもないんですが、選手は気にするんだそうです。ヘッドコーチが選手に“新聞を見るな”と言っているらしい。

江本:今の選手たちはそんな環境に慣れていない。これまでチヤホヤされ続けてきたから、そういう言葉への対応力がない。

中畑:岡田のボヤキはマイナスになるような言葉だということだよ。

達川:岡田とは星野(仙一監督)さんの時に一緒にコーチをやりましたが、人に対してはっきり言うんですよ。星野さんがバッテリーコーチのボクに“データを洗い直してこい!”と怒鳴りつけた時があって、スコアラー室に行ったんです。そしたら岡田がちょうどそこにいてボクの目の前でスコアラーに“これ教えたらアカンで、どうせすぐに広島に帰っていくんやから。スパイやから、適当に教えたらええで”と言うんです。ストレートな物言いは本当に変わらんのですよ(笑)。

江本:成績が悪くなった時に、ボヤキが選手たちにどう響くかが今後のペナントを左右するかもね。

第2回に続く

【プロフィール】
江本孟紀(えもと・たけのり)/1947年、高知県生まれ。1971年に東映入団。1972年に南海に移籍しエースとして活躍。1976年に阪神に移籍し、1981年の引退後は参議院議員、タレントとしてもマルチに活躍。

中畑清(なかはた・きよし)/1954年、福島県生まれ。1976年に巨人入団。ムードメーカーの「絶好調男」としてチームを引っ張った。引退後は2012~2015年にDeNAの監督を務めた。

達川光男(たつかわ・みつお)/1955年、広島県生まれ。1978年、広島に入団し正捕手として活躍。引退後は広島監督や阪神などでコーチを務め、ソフトバンクでヘッドコーチとして日本一に。

※週刊ポスト2023年5月5・12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

元皇族の眞子さんが極秘出産していたことが報じられた
《極秘出産の眞子さんと“義母”》小室圭さんの母親・佳代さんには“直接おめでたの連絡” 干渉しない嫁姑関係に関係者は「一番楽なタイプの姑と言えるかも」
NEWSポストセブン
岐阜県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年5月20日、撮影/JMPA)
《ご姉妹の“絆”》佳子さまがお召しになった「姉・眞子さんのセットアップ」、シックかつガーリーな装い
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《極秘出産が判明》小室眞子さんが夫・圭さんと“イタリア製チャイルドシート付ベビーカー”で思い描く「家族3人の新しい暮らし」
NEWSポストセブン
ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン
川崎春花
女子ゴルフ“トリプルボギー不倫”で協会が男性キャディにだけ「厳罰」 別の男女トラブル発覚時に“前例”となることが避けられる内容の処分に
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日の親子スリーショット》小室眞子さん出産で圭さんが見せた“パパモード”と、“大容量マザーズバッグ”「夫婦で代わりばんこにベビーカーを押していた」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
《司忍組長の「山口組200年構想」》竹内新若頭による「急速な組織の若返り」と神戸山口組では「自宅差し押さえ」の“踏み絵”【終結宣言の余波】
NEWSポストセブン
第1子を出産した真美子さんと大谷(/時事通信フォト)
《母と2人で異国の子育て》真美子さんを支える「幼少期から大好きだったディズニーソング」…セーラームーン並みにテンションがアガる好きな曲「大谷に“布教”したんじゃ?」
NEWSポストセブン
俳優・北村総一朗さん
《今年90歳の『踊る大捜査線』湾岸署署長》俳優・北村総一朗が語った22歳年下夫人への感謝「人生最大の不幸が戦争体験なら、人生最大の幸せは妻と出会ったこと」
NEWSポストセブン
漫才賞レース『THE SECOND』で躍動(c)フジテレビ
「お、お、おさむちゃんでーす!」漫才ブームから40年超で再爆発「ザ・ぼんち」の凄さ ノンスタ石田「名前を言っただけで笑いを取れる芸人なんて他にどれだけいます?」
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン