国内

【和田秀樹さん×坂東眞理子さん対談】終活への疑問「先のために備えるよりいまこの瞬間のためにお金を使うべき」

和田秀樹さんと坂東眞理子さんが終活への疑問を語り合った

和田秀樹さんと坂東眞理子さんが終活への疑問を語り合った

 21万部を超えるベストセラーとなった坂東眞理子さんの『70歳のたしなみ』刊行から4年、書き下ろしの新章を加えた文庫版が5月2日に発売される。そこで昨年もっとも読まれた『80歳の壁』の著者で医師の和田秀樹さんと初対談が実現した。ともに年を重ねてますます活躍を続ける秘訣、長い後半生をどう生きるかについて、おふたりに語ってもらった。【前後編の後編。前編から読む

 * * *
〈和田さんは著書『70歳が老化の分かれ道』の中で、《寿命が延びて、90歳、100歳まで生きるようなこれからの時代は、歳をとったので「引退する」という考え方自体が、老後生活のリスクになります》《自分が辞めると決めない限り、続けられるような仕事であるなら、身体がもつ限り、できる範囲で一生続けることが老化を遅らせるいい方法です》と綴っている〉

坂東:「女だから」と線引きする感覚と似ていますね。一般世論や平均値、「年寄り/女というものは」という型に押し込めようとする社会的な同調圧力を強く感じます。それに屈せず、“人は人、自分は自分”と抗わなければ。年を重ねたら自分で自分を励まさないといけませんね。

和田:意識してこれからの人生を楽しむなり、日々を充実させるべきで、その逆をやっていてはダメなんです。例えば、「終活」といった言葉があるじゃないですか。

坂東:終活は、本当に人の意欲をなくす言葉だと思いますね。

和田:そうなんです。死ぬことなんて考えないで、生きる時間をどう豊かにしていくかが大切なことなのに。

坂東:70代に入ると終活をしなければと考える人もいますが、人生100年時代、そこから20年も生きたらもう1回終活をしなくちゃならない。ほとんどの人が70歳を通過するこの時代、まずはその晩年意識を変えていかないと。70代ですべきは終活ではなく、その先の高齢期を生きるための準備、「老活」だと本にも書きました。

和田:終活は必要ないし、個人的には高い墓を買うのも疑問です。だって3代先に自分の墓を見てくれる人がいるとは、考えられないんです。

坂東:そう思いますよ。私も帰省すれば祖母の墓参りはしますが、その前の世代になるとわからない。

和田:少子化が進み、墓を守ってくれる人もいなくなる。終活として死んだ後の墓に何百万円も費やすよりも、いま生きている自分たちの幸せのためにお金を使って残りの人生を充実させる方がはるかにいい。母校に寄付するなど、人の思い出に残ることに使うのもいいと思います。いずれにせよ、先のために備えるよりもいまこの瞬間を味わうためにお金を使うべき。この瞬間に生きていることを本気で楽しむことが肝心です。

坂東:年を取ったからと他者に気を使わず、気ままに過ごすことを自分らしいリラックスした幸せな状況だと誤解するのも要注意です。心も体もたるんで、不活性老人まっしぐらになっちゃいます。

関連キーワード

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト