当時の横浜市は、人口が右肩上がりで増加。そのため、住宅難を解消することが行政課題となり、市は住宅地の整備を急いでいた。
行政の後押しもあって進められた住宅建設は、相鉄の沿線人口を増やすこととなり、それが利用者増につながった。
新しい住宅地として相鉄沿線に白羽の矢が立ったのは、沿線に未開発地が多く、開発余剰があったことに起因している。高度経済成長期、マイホームを持つことはサラリーマンの夢でもあったが、それは東京23区内では高嶺の花になっていた。横浜市の中心地も同様だったが、横浜市の郊外なら安価な住宅供給が可能だった。いずみ野線の沿線は膨張する東京・横浜のベッドタウンとしての役割を期待されたのだ。
しかし、いずみの野線が湘南台駅まで開通した1999年には、早くも人口減少の兆しが見えていた。それが相鉄にも忍び寄る。
「相鉄は2000年以降に沿線の高齢化が顕著になり、大きな課題になっていました。こうした中、沿線開発6大プロジェクトと称した開発に取り組んでいます。沿線開発6大プロジェクトのうち、二俣川駅南口と海老名駅西口の再開発事業は完了。すでに供用を開始しています。また、南万騎が原駅・弥生台駅・いずみ野駅・いずみ中央駅のいずみ野線沿線駅前リニューアル事業も完了しています。残り、横浜駅きた西口鶴屋地区再開発事業と星川・天王町駅間高架下開発計画とゆめが丘土地区画整理事業の3つです」(同)
この3つのうち、横浜市泉区のゆめが丘土地区画整理事業はいずみ野線の利用者数を押し上げることにもつながるので、大きな期待が寄せられている。
相鉄利用者の多くが「横浜駅離れ」
現在、ゆめが丘駅の駅前には目ぼしい施設がない。そうした状況も反映し、ゆめが丘駅の2021年度における1日の平均乗車人員は1000人に満たない。近隣には横浜市営地下鉄ブルーラインの下飯田駅があり、同駅と利用者を奪い合っている状況だが、それを考慮しても少ない。
開発が進まなければ、利用者数が増えるわけがない。ここにきて、ようやく相鉄と横浜市は駅周辺の開発計画を発表した。