過去の解雇事案の根拠となった「統一契約書の第17条」
山川の件は、いまも警察が捜査中だが、NPBには過去にわいせつ事件で逮捕された選手がいる。1991年12月の大洋(現・DeNA)の若手投手・A、2000年10月の巨人の中堅野手・Bの2件だ。
「Aは幼女への強制わいせつと公然わいせつ、Bは20代の女性への強制わいせつ致傷などで逮捕されています。Aは年末の発覚という事情もあって約2週間後、Bは当日に自由契約、つまり解雇されています。
当時の報道によれば、Bは宮崎市内のスナックで知り合った女性と飲酒している時に胸を触るなどして胸にスリ傷を負わせています。店を出た後、路上でその女性に無理やりキスして抗議されると、履いていたスニーカーで頭を3回殴り、5日間の怪我をさせた疑いで逮捕されている。女性から被害届を出されていました。
山川の行為が事実だと認定されれば、この件よりも重く、解雇になる可能性は十分あるでしょう。もちろん被害者の心情を考えると、事件の程度に大小はありません」(野球担当ベテラン記者)
解雇の根拠は、統一契約書の第17条にあるという。
〈第17条 (模範行為) 選手は野球選手として勤勉誠実に稼働し、最善の健康を保持し、また日本プロフェッショナル野球協約、これに附随する諸規程ならびに球団の諸規則を遵守し、かつ個人行動とフェアプレイとスポーツマンシップとにおいて日本国民の模範たるべく努力することを誓約する。〉
「大洋のAが解雇された際には、この条文が持ち出されました。当時は永久失格選手、つまり永久追放の可能性も取り沙汰されるほど球界を震撼させた。永久追放は免れたものの、セ・リーグの川島広守会長(当時)が全球団に無期限契約拒否を要請し、アメリカから身分照会を求められても突っぱねました。