2000年の巨人はBが逮捕された当日に解雇した上に、さらに厳しい対応もしました。手続き上“自由契約”なのですが、他球団と契約できるウエーバー公示に名前を載せないようにコミッショナーに要望した。それほどの“重罪”と判断したのです(※翌年2月以降は他球団と契約ができる形に)。コミッショナー事務局の広報部長が『前例のない破廉恥な事件。野球協約と離れた判断があってもいいのではないか』と話したほどです」(前出・球界関係者)
解雇された後に現役復帰できるか否かの境界線
過去の例を見る限り、山川が逮捕に至るようなことがあれば、解雇は免れないだろう。その場合、気の早い話になるが、NPB復帰はあるのか。Aはのちに中日で現役復帰している。Bはトライアウトを受験したものの契約する球団は現れなかった。この差は何だったのか。
「横浜市内の政財界が中心となり、Aの復帰嘆願署名が約22万人も集まり、逮捕から1年半後の1993年5月にセ・リーグの川島会長に手渡されています。この時は世論がまだ許さず、すぐには復帰できませんでしたが、この年のオフに中日が打撃投手として契約し、1994年の6月に支配下登録されました。
Bも巨人の私設応援団が復帰嘆願の署名を集めましたが、約2万人でした。復帰できるか否かの一番の判断材料は野球の実力と年齢だったと思いますが、世論の後押しがあるかどうかも重要になるようです」(前出・ベテラン記者。以下同)
30年ほど前と比べ、世間はコンプライアンスに目を光らせている。
「山川の報道が事実とすれば、あまりにイメージが悪く、擁護派が否定派を上回るとは考えづらい。しばらくは謹慎するでしょうから、仮に3年後の復帰となれば34歳です。リスクを背負ってまで、ベテランに手を出す球団はないと思います。野球を続けるなら、メジャーリーグなどの海外挑戦も考えられますが、アメリカは日本以上にコンプライアンスに厳しく、簡単なことではない。それよりも、まず山川はどれだけ人を傷つけたか、チームだけでなく野球界に迷惑を掛けたかをよく考えるべきです」