国内

【トー横とは何だったのか「後編」】全ては「ハウルの急死」で変わった…No.2が明かす「心友」との濃密な2年間

カメラにむけ中指を立てるハセベ容疑者

カメラにむけ中指を立てるハセベ被告

 新宿・歌舞伎町の住人や行き場のない若者の“たまり場”として、ここ数年で大きく知名度を上げた「トー横広場」。世界中から多くの観光客が集まる歌舞伎町において、この広場は異質な空間であり、ある意味で現代社会が抱える闇でもあった。実際、逮捕者まで出したトー横について、集団の「No.2」と言われた男性が、拘置所から当時を振り返る。歌舞伎町の住人たちを取材した著書『ホス狂い~歌舞伎町ネバーランドで女たちは今日も踊る~』を持つノンフィクションライターの宇都宮直子氏が、前後編で送る。こちらは後編となる(前編はこちら)。

 * * *

 4月下旬のことだった。その日は他の仕事が押していたこともあり、小菅(東京都葛飾区)の東京拘置所に着いたのは、14時30分過ぎだった。面会は基本的に一日一組のみだ。かつて「トー横の有名人」とし名を馳せた彼には、接見希望者が殺到しているだろうし、もう、その日の分の面会は終了しているかも、と半ばあきらめていたところ、係員から渡された整理券の番号は「1番」。それはこの時間となっても私しか来ていないことを意味する。若干、拍子抜けした。

 東京拘置所10階、5号面会室に現れたインフィは、肩までの金髪に、目にも鮮やかなスカイブルーのTシャツ姿。

「ハセベです」と挨拶し、頭を下げると、着席も早々に「雑記帳」と書かれたピンクのノートを片手に、こちらが口を挟む隙を与えず、ものすごい勢いで「卍會」に参加した理由を話し出した。

「僕とハウルはもともとの知り合いではなくて、出会ったのは今から2年くらい前です。広場で、ハウルがゴミ拾いをしたり、未成年の子の相談に乗ったりとか、炊き出しとかのボランティアをしているのを見て、『ああ、人のためにこんなことをするヤツがいるのか。カッコいいじゃねぇか』と感動して、自分から声をかけて仲良くなった。『卍會』では、他にもホームレスの人たちに仕事を紹介したり、家出少女たちを『駆け込み寺』って言われている大久保公園のそばにあるシェルターに連れて行ったりしてた」(以下・「」内はインフィの発言)

 彼らの活動は評価され、「総長」のハウル氏は「歌舞伎町の聖人」としてNHKで特集番組を組まれるなどし、団体はどんどん大きくなっていった。しかし、その後、ハウル氏が16歳の少女とみだらな行為をしたとして逮捕されたことにより団体とハウル氏の状況は一変する。

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン