──地元でも有名になったそうですね。
放送直後はいつものパチンコ屋へ行っても、「キャーッ!」みたいな感じ。これが若い女の子だったら、「ついに俺の時代がきたか!」ってなるんだけど、平日の午前中にパチンコ屋の開店待ちしてるオバチャンだからさ。写真撮ってくれぐらいならいいけど、タバコくれだのジュース買ってくれだの、クズばっか。そんな奴らに騒がれてる俺は、「クズの神」だね。
──クズに神様がいるんですね。
実際あの番組の反響は大きかった。バズるってのは、こういうことかと。コンビニ行っても、女の子から「クズやってる人ですよね」とか声かけられて、「待て待て。クズをやってるわけじゃねえよ。芸人やってて、勝手にクズ扱いされてるんだ」って説明して。ちょっと、錯覚もしたもん。「俺、今年の紅白出るんじゃないか?」って。いや、ホントそれぐらいすごかったんだよ。まぁ、一瞬だけどね。
──『ザ・ノンフィクション』のギャラはガッポリだったんですか?
正直、番組の取材協力費がいくらだったかは分からない。なんたって、放送前に事務所をクビになってるから。ただ、ワハハの偉い人たちから個人的に借りていたお金が、ざっと見積もって計80万円以上あったんだけど、それを棒引きにしてもらった。『ザ・ノンフィクション』からのお金が80万以上なんてことは絶対ないと思うから、結果的にすごい儲かったね。債務もすっきりさせて、最後は円満退社みたいな顔して事務所をあとにしたよ。ホント、大勝利。なにをもって勝利かは分かんねえけどさ。
──出演して借金が帳消しになるところも放送してほしかったです。放送後に仕事のオファーは増えましたか?
もちろん。『ザ・ノンフィクション』がきっかけでネタ番組やABEMAに呼ばれることも増えたけど、それ以上に大きかったのが『ギャラ飲み』。コロナの影響で、ほとんどの芸人が収入を減らしているなか、俺は前年度から200%ぐらいアップしたからね。そんなの俺くらいだよ。
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“クズ芸人”としてバズッた男の話は、想像を超えるものだった。吉本タレントの闇営業騒動以降、いかがわしい印象が強い「ギャラ飲み」にも、なんら後ろ暗いことはないと胸を張る小堀さん。第2回では、収入の7~8割を占めるという「ギャラ飲み」や、クズ芸人とは切っても切れない「ギャンブル」についても深く突っ込んでいく──。
(第2回に続く)